Home > ニュース > 世界の一流組織が集結するスポーツサミット『Sport Innovation Summit Tokyo 2018』が日本で初開催!トップイノベーターがスポーツビジネスの未来を語る【前編】

2019年1月17日20時00分

世界の一流組織が集結するスポーツサミット『Sport Innovation Summit Tokyo 2018』が日本で初開催!トップイノベーターがスポーツビジネスの未来を語る【前編】

  • LINEで送る


世界の一流スポーツ組織や関連企業の最新トピックが一度に聴ける『Sport Innovation Summit Tokyo 2018(スポーツ・イノベーション・サミット・トーキョー・2018)(以下:SiS)』が、2018年11月29日から2日間にわたって、東京・六本木のアカデミーヒルズにて開催された。

SiSは2014年にメキシコにてスタートした、スポーツやその周辺で起きているイノベーションに特化したカンファレンス。世界各地で起きているトレンドを紹介し、ディスカッションの”場”を提供することを目的として行われている。

そして日本初開催となった今回、スポーツビジネスに関わる第一線のプロフェッショナルたちが集結し、熱い講演・ディスカッションが繰り広げられた。前編では、イベント初日に登壇した、今話題の動画アプリ『TikTok(ティックトック)』などのサービスを運営するBytedance(バイトダンス)のUSコンテンツパートナーシップ責任者マイケル・モドン氏と、Bリーグのチェアマンである大河正明氏の講演模様をお届けする。

取材・文/佐藤主祥

スポーツ配信の未来を左右する
TikTokの活用
平昌五輪のアメリカ代表選手のコンテンツをスクリーンに流しながら、TikTokについて説明するモドン氏
昨今、世界で急成長中の短編動画アプリ『TikTok』。日本でも若い世代を中心に流行しており、2018年のユーキャン新語・流行語大賞にノミネートされるほど爆発的な人気を誇っている。

同アプリの米国でのコンテンツ提携を担当しているマイケル・モドン氏は、

「TiKTokは実にクリエイティブなもので、自己表現ができるアプリ。音楽、旅行、ファッションなど全てのジャンルでコンテンツを生み出すことができる。それはスポーツも例外ではない」

とスポーツ領域で活用することの可能性の高さを示した。

TikTokはユニークな音楽を活用して個性あふれる動画を編集し、約15秒のオリジナルビデオとして友人にシェアすることができ、どちらかというと“SNS向けの動画作成”に特化したアプリ。今までスポーツ領域で活用されているイメージはあまりない。しかし、今後は『スポーツ配信の未来を左右する』と、モドン氏。

「従来のツイッターやインスタグラムなどは、写真などの投稿を見て“いいね”をしたりコメントをすることができました。ですが、TikTokはさらにクリエイティブなアプリとして考えています。というのも、TikTokは15秒ムービーを作成する際に大量の音楽が用意されており、それに合わせて口パクや振り付けをすることで、音楽プロモーションビデオのようなショートムービーが簡単に作ることができる。スマホ1台で簡単に動画をカスタマイズでき、素人でも動画クリエイターになることができます。

それはスポーツ企業や選手も同様で、スポーツの魅力や試合のハイライト、選手のコメント動画を簡単に作成し、気軽に見てもらえる。SNSの時代だからこそ、それに特化したTikTokのショートムービーはシェアされますし、スポーツ関連のコンテンツを発信すれば、世界中のスポーツへの関心がさらに高まるのです」
バイトダンスは、実際にアメリカのNBCスポーツと平昌五輪の際にパートナーシップ契約を結び、あるプロジェクトを起こした。同国の五輪代表チームと協力して『#EverydayOlympian』というハッシュタグを利用し、アスリートに”もし選手になれなかったら、どんな仕事に就いていましたか?”というインタビュー動画を作成。動画の最後に”あなたなら何をしていましたか?”と視聴者に問いかけ、反応したユーザーがそれに答えるように同ハッシュタグを付けて動画を配信。結果、7000以上のコンテンツが生成され、世界中の五輪に対する意識をあげることに成功した。

現在も多くのスポーツ企業やアスリートとパートナーシップ契約を結び、TikTokを通じてさまざまな取り組みを行っているという。日本においては、昨年10月に開幕した卓球のプロリーグ『Tリーグ』のPRパートナー/公認アプリとして提携。Tリーグの公式アカウントからはパンフレット動画、それぞれのチームや選手アカウントからは各試合の見どころ、普段見ることができない選手のオフショット動画などを配信し、今までにない“新たな観戦スタイル”を創造している。

2020年にビッグイベントを控えている今、TikTokを活用したPR配信は、スポーツ界を盛り上げていくうえで欠かせないツールになるかもしれない。
大河チェアマンが仕掛ける
ファン目線に立ったSNS戦略
バスケットボールBリーグの大河チェアマン
続いて登壇したのは、バスケットボール『Bリーグ』のチェアマンを務める大河正明氏。2010年に銀行からJリーグへ転職し、2015年に新リーグ創設を目指すバスケボール界へと舞台を移して組織再編を手掛けてきた。Bリーグは現在3シーズン目に突入し、年々来場数も盛り上がりも飛躍してきているが、さらにビジネス面で成功に導くために、大河氏はさまざま施策を打ち出した。

「まずは“ソフトとハードの一体経営”です。Bリーグは日本のプロリーグにおいて、唯一のアリーナスポーツ。アリーナを保有し、自由に使い、そしてアリーナの収益向上によってチームは支えられていく。ですが今後は、チームがアリーナを借りるのではなく、アリーナを使える会社がチームを持つ。そういった経営体制への移行を考えています。リーグ開幕から10年が経つ、2026年頃には自社運営のアリーナがあるチームをB1と呼びたいですね」

すでに国内では、様々な地域で新しいアリーナの建設を計画しているという。アリーナを運営し、自前の“バスケットボール専用アリーナ”として活用できるチームが増えていけば、施設利用料を払って借りる必要がなくなりビジネスの不安定化を減少。かつ自由な経営活動ができるため、さまざまなイベント・企画を実施することができ、さらなるリーグの人気向上を狙うことができる。

続けて大河氏は、施策の1つである“デジタルマーケティングの進化”について語った。

「Bリーグでは、全チームのチケットやEC、そしてファンクラブの情報をまとめて、1つのデータとして管理することを始めました。他のプロリーグと比較すると、プロ野球は大きな規模を持っていますが、12球団全てバラバラです。Jリーグは1つにまとめようとしていますが、すでにほとんどのクラブが独自でデータを保有しているので、統合は難しい。一方、Bリーグは2015年からスタートしたばかりなので、リーグとして管理することができるわけです。2019年からはターゲットを絞っての広告や決済システムを提供していこうと考えています」

こういった全チームの情報を管理する方向性を説明したうえで、さらなる施策として“Bリーグのメディアカンパニー化”を掲げた。

「テレビの地上波の視聴率層を見ると、ほぼ50歳以上の人で埋まっているので、若い年代をターゲットにしている我々は、この視聴率競争に勝つことは難しい。ですから、逆に若い年齢層のファン向けに、SNSなどを活用した映像配信を大事にしていきたいと考えています。それこそTiKTokを運営するバイトダンスさんのようなメディア企業に映像を提供し、SNSを通じてファンとコミュニケーションを取っていく。そんな映像配信ができるメディアカンパニーとして進化していきたいですね」

つねに“観客目線”に立っている大河氏だからこそ、リーグ運営において顧客のニーズに合わせた柔軟な姿勢は崩さない。こうしたファンづくりは、国境を越えてアジアにまで拡大する。

「Bリーグには今後、アジアの選手のために“アジア枠”を設けたいと考えています。中国にはバスケットボールの観戦意向のある人が21パーセント、総人口から考えると約3億もの人たちがバスケットボールを観てもいいと思っているんです。そんな中国や、競技が盛んなチャイニーズタイペイやフィリピンの選手が活躍できる環境を整えてあげる。それによってインバウンド集客の増加につながり、アジアでもファンを作ることができるのです」

国内だけにとどまらず、海外でも人気が出るような世界レベルのリーグを目指していくと話す大河氏。今後どのような施策を実行し、スポーツビジネスにおいてどのようなイノベーションを起こしていくのだろうか。
  • LINEで送る
  • sports japan GATHER キャリア支援サービス