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元女子サッカー選手小田加奈子さん~後編~

2015年7月2日10時00分

元アスリートが語る スポーツの仕事「やる」から「つくる」へ- Vol.4 –
元女子サッカー選手小田加奈子さん~後編~

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続いていくサッカーとの繋がり
ユースチームのコーチとして選手の悩みや意見を聞く小田さん
実は“選手を辞めたら、いろんなことをやってみたい”と思っていた小田さん。現役時代にはできなかった少し長めの旅行やスカイダイビング、サッカーもサークルレベルで続けてみようか…。そんなことを考えながら引退の相談をした日に、スフィーダ世田谷FCトップチームの川邊監督から思ってもみない誘いを受けた。

「監督に「アシスタントコーチをやってみないか」って言われて、ちょっと驚きました。“大きな実績もない自分にコーチができるのだろうか”ってけっこう悩んだんですけど、必要としてくれるっていうのが嬉しくて。人手が足りなかっただけかもしれませんが(笑)」

選手から指導者へ。もちろん不安はあったが、また違う方向に自分を導いてくれるチャンスなのかもしれないという気持ちでアシスタントコーチを引き受けた。

現在は、ユースチームの高校生たちを指導している。試合や練習の合間に見かけたのは、小田さんとひとりの選手が長い間、話しこんでいる姿。プレーや戦略のアドバイスだけでなく、日々の悩み事や将来の相談を持ちかけられることも少なくない。

「今日は2人。“プレーしたいのにケガでできない、悔しい”っていう選手と“スタメンから外されて気づいたことがあるから聞いてほしい”っていう選手でした。中学生ぐらいの年齢なら伝え方が簡単なのかもしれません。しかし、高校生の年代になるとある程度自分の考えをしっかり持っているので、答え方が難しいなと感じる事があります。私も“これが正解”っていう自信を持ってアドバイスしている訳じゃなくて、選手をやってきた経験で口出しをさせてもらってます (笑)」
アシスタントコーチとして新たなサッカーとの関わりをもった小田さん。自身の経験を元にユース選手にアドバイスしている
こちらが答えを出すよりも、ちゃんと話を聞いて気持ちを全部吐き出させてあげることで、少しは役に立つんじゃないかと思う小田さん。自分の体験談は、あくまで「ひとつの考え方だよ」と、相手に押し付けないことも大切にしている。ユースチームを率いている楠本監督は、小田さんにこんな期待を寄せていた。

「僕がいちばん期待しているのは、男の僕が聞けない部分をカバーしてくれること。女子選手たちのコンディションや、僕が厳しく言った後のフォローですね。僕は監督としてどうしても“チームを勝たせるためにどうするか”を優先するので、どうしてもそこに乗ってこれない選手が出てくる。その子たちを彼女が拾ってくれることで、もっとチームがまとまってくるんじゃないかと思っています」

自分からは一度、線を引こうと決めたサッカーとの繋がり。それでも、必ず誰かが見ていて、役割と居場所を作ってくれる。何かが足りない場所があって、そこに必要なのはアイツだと顔が浮かぶ。

“そういう人でいること”

それが、小田さんの生きる秘訣かもしれない。

※データは2015年7月1日時点

■プロフィール
小田加奈子 / 1990年8月11日生まれ、広島県広島市出身。
2013シーズンからなでしこリーグの「スフィーダ世田谷FC」に所属。東京ガスグループの「東京ガスライフバル」に勤務しながら選手生活を送る。2年間、競技を続けたが2014シーズンに引退。現在はユースチームのアシスタントコーチとしても活動している。
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