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ゴルフシャフト事業 新井宗徳

2014年12月1日10時00分

知りたい!就きたい!スポーツの仕事現場
ゴルフシャフト事業 新井宗徳

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町工場からゴルフシャフト事業を展開
知りたい!就きたい! スポーツの仕事現場、直撃取材
知りたい!就きたい! スポーツの仕事現場、直撃取材
2020東京五輪に向け「スポーツ業界で働きたい!」と思っている学生や転職を希望している人が多くなる中、どんな職種があるの?どんなスキルが必要なのか?など分からないことが数あり、仕事の実際を知ることが意思決定には重要となる。そこで、スポーツを仕事としている人にインタビューし、仕事の“あれこれ”を聞いた。

~1回目~
ゴルフシャフト販売・製造
サンキプラナリア代表 新井宗徳(あらい・むねのり)さん

年齢 34歳
職業歴 3年

仕事内容
・各地のゴルフショップに営業
・工場側とシャフトのカラー等を選定
・見積もり、梱包、経理
趣味から仕事へ 2011年から開始
ゴルフクラブを購入すれば、シャフトは必ず刺さっているもの。シャフトは附属品というイメージが強いが、そのオリジナル製品を製造・販売しているのが「サンキプラナリア」だ。

新井さんは、父が経営している鉄道車両の部品など、金属加工を手がけている神奈川県横須賀市の工場「三貴」の仕事を行っている。そんな中転機となったのは、2008年。釣竿を手がけている知人に“ゴルフシャフトを作ってみたから打ってみないか”と言われ、試打したことがきっかけとなり、11年に新事業としてゴルフシャフト界に飛び込んだ。

「最初は、本当に遊びでしたよ(笑)。知人が持ってきてくれたオリジナルのシャフトは、“自分だけのもの”という感じで打っていて、嬉しかったんですよね。でも、途中から『曲がらないでもっと飛ぶ、そしてさらにきれいなシャフト』になればと思い始めたんです」

新井さん自身、11歳からゴルフをしていた。高校の時にはプロを目指し、プロゴルファー伊澤利光の父に教わり、毎日クラブを握っていた。自身で試すほか、いろいろな人に打ってもらい約3年が経過。“これだ!”というモノが完成し、11年3月から販売をスタートさせた。
事業開始直後に震災 初の営業も苦戦続き
「東日本大震災の1週間前から販売を始めました。しかし、震災があり多くの人が被災。当然ですが、ゴルフをする雰囲気は一切ありませんでしたね」

未曾有の災害。日本全体が停滞した中で、ゴルフ界も女子トーナメントが中止されるなど影を落とし、新井さんはシャフト事業を一旦休止し、工場の仕事を行った。日本全体が活気を取り戻そうと一丸になり始める中、事業を開始したのは11年の下半期だった。

しかし、良いものを作るだけではダメだという現実を知った。震災の影響もあったが、新井さん自身製造を専門に仕事をしてきたため、モノを売るということは初めての経験となった。

「いわゆるザ・職人でしたね。営業をするというのは人生で初めてのことで、本当に苦労しました。当初は会社案内のパンフレットもなく、シャフトにヘッドを付けて関東の工房があるゴルフショップを飛び込みで回り、店主に打ってみてくださいと言って試してもらいました。しかし全く相手にされませんでしたね」

その後、大阪や名古屋のゴルフショップも回ったが、全滅。約250店舗、1件1件回ったが、成果は出なかった。それから1年間は、いろいろな人からアドバイスをされ、そのたびに新たなシャフトを作る日々が続き、試行錯誤していた。

「当時は迷いがたくさんありましたね。アドバイスをいただくと、“それもやってみよう”“あれもやってみよう”という感じで、どつぼにはまっていきました。でもこれじゃダメだ、自分が『いい』と感じたもので勝負しよう、信念を貫き通そうと思ったんです」

営業はまだまだ勉強不足だったが、いいものを作れば絶対にお客さんを満足させる自信があった。
現在は月10本を売り上げるまでに成長
1本8万8000円~。完成までの日数は30~45日。高価なものだが、 世界に一つだけのシャフトになるということで、徐々に反響を呼んでいる。
1本8万8000円~。完成までの日数は30~45日。高価なものだが、
世界に一つだけのシャフトになるということで、徐々に反響を呼んでいる。
最初の一歩となったのが、2012年の下半期。何度も話し、熱意を伝えていた大阪のゴルフショップから「1本注文する」と言われた。

「自ら営業に行き、注文が入ったのは初めてだったので、本当に嬉しかったですね。苦しくてもやっていてよかったなと思いました」

現在はパンフレットも完成、全国のゴルフショップに送付するなど営業の方法も幅を広げており、シャフトを取り扱いたいという店舗も徐々に増えてきている。以前は、月1~2本しか売れていなかったが、今では月10本のペースで売れているという。

苦労した時期は長かったが、考えを曲げずに行ってきた結果が、成果となり始めている。 最後に、この仕事に就くためには、どのようなスキルが必要なのか。

「知人がいなければ、シャフトの世界に足を踏み入れなかったと思いますが、シャフトに限らずスポーツの製品や用具を販売する職業に就きたい人は、営業側と製造側、両方の気持ちを理解することが大切だと思います。私は、製造側の人間として仕事をしていたので、売るという営業側の気持ちは分かりませんでした。両方のことを知ったことで、自社製品の大切さを自身の言葉でしっかりアピールできる、これは強みだと思います」
※データは2015年10月1日時点
苦手だった営業だが、今はいろいろな人と話すのが楽しいという新井さん。 この仕事が生きがいになってきていると最後に話してくれた。
苦手だった営業だが、今はいろいろな人と話すのが楽しいという新井さん。
この仕事が生きがいになってきていると最後に話してくれた。
サンキプラナリア
住所:神奈川県横須賀市内川1-3-8
電話:046-837-1192
ホームページ: http://sankiplanaria.co.jp/

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