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2020年1月9日13時37分

【元スキー選手 清澤恵美子さん】元アスリートが語るスポーツの仕事「やる」から「つくる」へVol.24‐(後編)

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「競技の目標だけではなく“人生の目的”を見つけてほしい」
元スキー選手、清澤恵美子さんに話を聞きました



〜第24回目〜
清澤恵美子(きよさわ・えみこ)さん/36歳
スキー選手→解説、イベント出演、セミナー主催

※スポーツ庁委託事業「スポーツキャリアサポート戦略における{アスリートと企業等とのマッチング支援}」の取材にご協力いただきました。

スキー界に“恩返し”
目標としていた平昌五輪出場を逃し、2018年1月に引退したアルペンスキーヤーの清澤恵美子さん。引退を決め、遠征先のヨーロッパから帰国した直後に、自分が育った東京都スキー連盟に連絡を入れた。

‐ジュニアの試合があると思うんですが、帯同させてくれませんか?‐

「辞めたときに“恩返し”という言葉が頭をよぎりました。指導者の経験もあったので、ジュニアの子どもたちに世界で戦ってきた一番良い滑りを見せられるのは、今しかないと思ったんです」

清澤さんは自身の経験や資格を活かし、アルペンスキーの指導はもちろんのこと、テレビでの解説、ジュニア育成、セミナー講師、ピラティストレーナー、メンタルトレーナー、イベント運営など多岐に渡る活動を行っている。なぜ、これほどまで多くの仕事をこなすのだろうか。

「現役最後の2年間は“スキーが好き”と改めて感じることが出来ました。その時に『スキーの面白さをより多くの人に広めていきたい』という将来の目的を決めたんです。スキーを通じて、大きく成長させてもらえたと心から思っていて、だからスキーに携わる仕事であれば何でもしようと、様々な取り組みをしています。

冬はイベントや教室が開催されるので、毎週末全て埋まっています。夏はセミナーやトレーニング方法などを企画し、自身のSNSや口コミで宣伝しながら、小規模で行っています。体を使うトレーニングであれば公園も利用できるので、施設料もかからない。そうすると、参加料を安くできるとか。様々な仕事をした経験が活かされていますね」
大切なのは”自己分析”
自身の経験や資格を活かしアルペンスキーの指導はもちろんのこと、ジュニア育成、メンタルトレーナー、イベント運営など多岐に渡る活動を行っている
現役時代の自身の経験や学びが、全て今の仕事に繋がっている清澤さん。セカンドキャリアの最終的な目標は何なのだろうか。

「女性のスター選手が誕生するような仕組みを作りたいです。昨年、軽井沢プリンスホテルスキー場にて『スノーウィメンズカップ』という試合を開催しました。これは、女性のエンパワメントを高める大会として、様々なスポンサーに集まってもらい、選手とスポンサーがマッチングする機会を創出する取り組みを行いました。

こういったことがきっかけで、選手を支援したいという企業が1社でも多くなればと考えています。今後もこういった大会を企画し、その中から上村愛子さんのようなスターが誕生すれば嬉しいです」

最後に、現役の選手に向けて、セカンドキャリアを考えるうえで必要なアドバイスを聞いた。

「“人生の目的を持つこと”と“自信をつけてほしい”の2つです。

1つ目の“人生の目的”っていわれても中々難しいと思いますが、何か本を読んでみるとか、競技と違うことを始めてみるとか。きっかけは、小さくてもいいので、自身を客観視できる機会を作ってほしいです。私はドームに入社し、様々な人と話をしたことがきっかけとなり“スキーを多くの人に知ってもらう活動ができたらな”と思うようになりました。競技を終える前から『自分の人生の目的は何か』、『何のために生きていくのか』をきちんと考えてほしいです。

そして、2つ目の“自信”ですが、しっかり分析することで得られるものだと思っています。私が現役時代に行っていたことなのですが、試合の前後に質問項目を作り、今の能力を分析するようにしていました。例えば『心理状態はどうですか?』『体力的にはどうでしたか?』『アップはきちんとできましたか?』とか。それを5段階評価にして、簡単に自身で応えられるようにしていました。

試合前は、どうしても色々な雑念が沸いてきます。でもそれって、パフォーマンスを下げるだけです。それを考えないように、そして試合後も“次に何をしなくてはいけないか?”が明確になります。そういう風に、自分を分析するようになったのが25、6歳。そこから世界でも戦えるようになりました。最初は大変だと感じますが、結果に繋がれば必ず自信もつきます。現役から、スポーツを通して様々なことを学べていれば、次のキャリアをスタートさせる時に、必ず通用する人間になると伝えたいです」


(プロフィール)
清澤恵美子(きよさわ・えみこ)さん
1983年11月生まれ、神奈川県出身。専修大学卒業。両親の影響で3歳からスキーを始める。7歳の時、同年代の子供たちがポール練習をしているのを見たことがきっかけでアルペンスキーにのめりこむ。高校選抜総合優勝をはじめ、全日本選手権3勝、FIS大会55勝を挙げる。2018年1月に引退。東京都スキー連盟コーチ、リコレクト認定OKメンタルトレーナー 、BESJピラティストレーナーとして、スキーの認知を広めるため、幅広い活動をしている。

※データは2020年1月9日時点
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