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2020年3月16日12時11分

【元プロ野球(独立リーグ)選手 高島秀伍さん】 元アスリートが語る スポーツの仕事「やる」から「つくる」へ -Vol.27- (後編)

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「大切なのは“努力”と“継続力”。それがアスリートとしての価値です」
元野球選手、高島秀伍さんに話を聞きました


〜第27回目〜
高島秀伍(たかしま・しゅうご)さん/28歳
野球選手→会社員(ケービックス )

取材・文/佐藤主祥

※スポーツ庁委託事業「スポーツキャリアサポート戦略における{アスリートと企業等とのマッチング支援}」の取材にご協力いただきました。

支えられる側から支える側へ
業務を通じて得た新たな“気づき”
四国アイランドリーグplusの香川オリーブガイナーズで2シーズン過ごし、2年目には最多勝と最多奪三振の投手二冠に輝くなど活躍した高島秀伍さん。だが、夢だったNPB(※日本野球機構)に入ることはできず、現役を引退。2019年3月から、施設管理などを手がける企業『ケービックス』に入社し、ビジネスマンとしてセカンドキャリアを歩み出した。

同社は、人材総合サービスをベースにした業務アウトソーシングサービスを展開する企業。独自のブランドとノウハウを活かし、ビルメンテナンス事業、旅館・ホテル・工場などでの業務請負を展開。営業企画グループへの配属となった高島さんは、入社直後から外回りをする日々を送っている。

「営業でいろいろ企業を訪問しますが、はじめはビジネス用語が理解できなくて、とても苦労しましたね(笑)。特にIT企業のお客様と会話するのは大変で…話についていけないのが苦しかったです」

そんな時、高島さんの助けとなったのが“野球選手時代の経験”だった。

「NPBを目指していた過去の話や、選手だったからこそ知る“ネタ”はすごく盛り上がるんです。それによって弊社のサービスにも関心を抱いてもらえます。約20年の競技生活は、今や営業トークでの大きな武器となっています」

また業務請負において、現場の作業を指導できるようになるべく、店舗での仕事研修も行っている。旅館やホテルで客室整備や館内外の日常清掃を実施するにつれて、現役時代には理解できなかった“あること”に気づいたという。

「今までは選手として表舞台に立っていましたが、旅館やホテルなどの現場を知ることで、裏方の存在の大きさに気がついたんです。例えば、僕らが遠征で宿泊施設に泊まる時も、スタッフの方々が一室一室、丁寧に掃除をしてくれていたからこそ、気持ちよく泊まることができていた。

野球においても、バッティングピッチャーやブルペン捕手、そして応援してくれるファンがいなければ、こんなに長い間、野球を続けることはできなかったと思います。すでに現役は引退しましたが、今までサポートしてくれた裏方の方には、本当に感謝の気持ちを伝えたいです。そして今度は、僕が支える側として多くの人に恩返しができたらなと思っています」
刺激になっている
同年代の活躍
現在、営業として働いている高島さん。将来的には野球界に貢献したいと話す
約1年間、営業として働いてきた高島さん。社会人2年目を迎えてもなお、現役時代から変わらない貪欲な姿勢を見せている。

「仕事に対して『しんどい』と思ったことは一度もありません。もちろん、初めてのことなので大変な部分はありますが、野球をやっていたころは厳しい練習を毎日していたので、変な話『まだまだやれるな』っていう感じです!“もっとやれる”、“さらに成長できる”という気持ちが強いんです」

それゆえ、業務時間外にもビジネスについて勉強する時間を作っているという。

「自宅で勉強するのもそうですし、営業で出張が多いので、新幹線での移動の際に本を読んだりしています。やはり普通に考えたら、大学を卒業して就職している同級生に比べたらかなり遅れているので、その時間を取り戻すためにも空いた時間は有効に活用しないといけません。

上司や同僚から見ても、ビジネスマンとしてまだまだ未熟だと思います。それは自分でも感じていますし、ただ任せられた仕事をこなすだけでは周りに追いつけない。だから仕事でもプライベートでも、常に学ぶ姿勢を持って取り組んでいくことが大事なのかなと思っています」

ここまで高島さんを突き動かすのは、やはり同世代の存在が大きい。

プロ野球の現役選手でいえば、桐蔭学園の後輩である茂木栄五郎(現・楽天イーグルス)や若林晃弘(現・読売ジャイアンツ)。東洋大学の先輩である藤岡貴裕(現・読売ジャイアンツ)、高校大学を共に過ごした鈴木大地(現・楽天イーグルス)など、数々のトッププレイヤーが名を連ねる。

そんな彼らの活躍が、高島さんに“俺ももっとやらないと”という刺激を与えている。

「私は、もうプロ野球の舞台を目指すことはできません。しかし、ビジネスの舞台で活躍して、逆に同世代の選手たちに刺激を与えられるように頑張りたいです。将来的には野球で恩返ししたいと思っています。”指導者”、”チーム運営”なのか、それはわかりません。けれど、どんな形でもいいので、約20年間お世話になった野球界に少しでも貢献できたらなと考えながら“前進”していきます」

最後に、現役の選手に向けてセカンドキャリアに対するアドバイスを聞いた。

「もちろん現役のうちは、とことん努力してほしい。そしてその後、小さくてもいいので“競技とは違う目標”を見つけてほしいですね。野球選手含め、アスリートは目標に向かって、努力し続けることができる能力を持っています。仕事や趣味、何でもいいんです。それを定めることができれば、次のステージにいってもきちんと生きていけると思います」

一つのことを続ける継続力、そして成長するために努力するスキルは”アスリートの価値”。高島さんは、まさにその”価値”の大きさを示している最中だ。


(プロフィール)
高島秀伍(たかしま・しゅうご)
1991年7月生まれ、神奈川県出身。東洋大学卒業後、セガサミーに入社。社会人として野球を続け、2年目に日本選手権にスタメン出場。しかし3年目に引退勧告を受け退社。その後、四国アイランドリーグplusのトライアウト受け、香川オリーブガイナーズに入団。投手として、最多勝・最多奪三振に輝くもNPBのドラフトに指名されず、2018年に引退。現在は、施設管理などを手がける企業『ケービックス』に勤めている。

※データは2020年3月16日時点
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