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2020年3月15日18時57分

【元プロ野球(独立リーグ)選手 高島秀伍さん】 元アスリートが語る スポーツの仕事「やる」から「つくる」へ -Vo.27- (前編)

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「野球でコミュニケーション能力を身に付けられたのが大きかった」
元野球選手、高島秀伍さんに話を聞きました


〜第27回目〜
高島秀伍(たかしま・しゅうご)さん/28歳
野球選手→会社員(ケービックス)

取材・文/佐藤主祥

※スポーツ庁委託事業「スポーツキャリアサポート戦略における{アスリートと企業等とのマッチング支援}」の取材にご協力いただきました。

プロ入りを目指し飛び込んだ
独立リーグへの道
野球をしていた父親と兄の影響により、小学1年生のころに地元・神奈川県の少年野球チームに入った高島秀伍さん。小学6年時には関東大会出場を経験し、中学3年時にはエースで4番を務め、チームを全国大会準優勝に導くなど、野球選手としての才能を開花。

しかし、桐蔭学園高校に入学後は度重なるケガに苦しみ、高校2年生時に投手から外野手への転向を決断。東洋大学進学後の3年生から外野での出場機会が増え、レギュラーに定着した。

当時、東都大学野球リーグ2部に所属していたため、1部昇格を目指して入れ替え戦に駒を進めたが、1つ歳下の今永昇太さん(現・横浜DeNAベイスターズ)を擁する駒澤大学に敗北。大学在学中での1部昇格は果たせなかった。

その後、社会人野球の企業チーム『セガサミー』に入社。ここで飛躍し、NPB(日本野球機構)入りを目指すことに。しかし、入社2年目までは4番打者としてチームの中心を担う活躍をしていたが、3年目に元プロ野球選手が入団し、外野のポジションを奪われてしまい出場機会が激減。引退勧告を受け、退社を決意する。

「チームにいられなくなった時点で、一度、現役を引退したんです。でもコーチから“お前は肩が強いんだから、投手に再転向してみたらどうだ?”と言われ、他のチームで野球を続けようか悩みました。とはいえ、セガサミーは大手企業なので辞めるのはリスクがありますから、僕の気持ちとしてはこのまま会社に残って働くつもりでいました。

ただ、なんかモヤモヤして…。ずっとNPBを目指していましたし、このまま諦めたら悔いが残るかもしれない。周りのみんなからも“辞めるのはもったいない”と背中を押されたので、ダメ元で四国アイランドリーグplusのトライアウトを受けることにしました。そうしたら、香川オリーブガイナーズに合格したんです。正直、生活が厳しくなるので悩みましたが、チームメイトや親にも応援してもらったので、挑戦することを決めました」

独立リーグの選手の報酬は、月10~20万円程度。それでも”ラストチャンス”にかけて、四国へ飛び込んだ。
引退後は
営業の仕事を選択
四国アイランドリーグplusの香川オリーブガイナーズで2年間プレーした高島さん
8年ぶりに投手に再転向し、26歳で四国アイランドリーグplusの香川オリーブガイナーズに入団した高島さん。

もともとは、エースピッチャーとして全国大会を経験するという実力があったため、入団1年目の2017年には6勝をマーク。18年には8勝を挙げ、最多勝と最多奪三振の投手二冠に輝き、チームの年間総合優勝に大きく貢献した。

その活躍は、プロ野球の各球団にも目に止まりドラフト候補に浮上。NPB入りが現実味を帯びてきた。

「あるんじゃないかなって、本当に思いましたね。テレビでも特集され、注目されましたから。でもドラフト会議で名前は読み上げられませんでした」

全力を出し切り、投手のタイトルも手にした。それでもNPB入りは果たせなかったことで、ユニホームを脱ぐことを決意した。

「最初はもう1年続けようか悩みました。ファンの方々から“もう1年頑張ってほしい”と嬉しい声をかけていただいていましたし、結果も残していましたから。ですが、そのまま現役を続けても年齢的にドラフトにかかるのは厳しかったですし、何よりチームのみんなと優勝できたので、悔いはありません。引退して、次のキャリアを歩むことにしました」

現役を引退した後、次のキャリアをサポートする『四国アイランドリーグplusキャリアデザインセンター』などから、企業が数十社集まる就職面接会を紹介され、複数の企業面接を受けた。そこで出会ったのが、施設管理などを手がける企業『ケービックス』だった。

「同社の専務が野球経験者だったこともあり、話を熱心に聞いてくださったんです。ビジネス業界のことを何も知らないにも関わらず、僕を社員として必要としてくれた。その気持ちに応えたいと考え、ケービックスへの入社を決めたんです。

加えて、配属される部署が営業部だったことも大きく影響しました。パソコンのスキルが無かったというのもありますが、現役時代にはチームメイトや監督・コーチとコミュニケーションを取ることが得意だったので、営業は向いていると感じていたんです。チームスポーツである野球の経験を活かせる場所で働けるのは、すごくありがたいです」

19年3月に入社し、野球選手から営業マンへと転身を遂げた高島さん。独立リーグで投手タイトル二冠に輝き、一度はドラフト候補に挙がった男が、ビジネス業界という新たなマウンドに登り、第2のキャリアを築いている。(前編終わり)


(プロフィール)
高島秀伍(たかしま・しゅうご)
1991年7月生まれ、神奈川県出身。東洋大学卒業後、セガサミーに入社。社会人として野球を続け、2年目に日本選手権にスタメン出場。しかし3年目に引退勧告を受け退社。その後、四国アイランドリーグplusのトライアウト受け、香川オリーブガイナーズに入団。投手として、最多勝・最多奪三振に輝くもNPBのドラフトに指名されず、2018年に引退。現在は、施設管理などを手がける企業『ケービックス』に勤めている。

※2020年3月15日時点
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