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2019年11月20日16時31分

スポーツ関連グッズの企画・製造 松本隼さん「“ファン目線”でビジネスを考え、“自主的に動ける”人材が活躍できます」(後編)

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知りたい!就きたい!スポーツの仕事 連載23回目
〜スポーツ関連グッズの企画・製造編〜
ファナティクスの松本隼さんに話を聞きました


2020東京五輪に向け「スポーツ業界で働きたい!」と思っている学生や転職を希望している人が多くなる中、どんな職種があるの?どんなスキルが必要なのか?など分からないことが多数あり、仕事の実際を知ることが意思決定には重要となる。そこで、スポーツを仕事としている人にインタビューし、仕事の“あれこれ”を聞く。

Fanatics Japan G.K.
Eコマース部シニアマネージャー
名前:松本隼(まつもと・しゅん)さん

仕事内容
ECサイト運営(システムの改修業務マネジメント、サイト流入施策の戦略作りと実行、サイトのコンテンツ作り/プロモーション策定、来店顧客の分析&サイト改善、商品別の販売傾向分析)

取材・文/佐藤主祥

“ファンの生の声”を
サイト制作に活かす
世界中で300以上のリーグやチームとパートナーシップを締結し、その幅広いジャンルのグッズの企画・開発能力で、“ファンが本当に欲しい商品”を生み出し続けているFanatics Inc.の日本法人Fanatics Japan G.K(ファナティクス・ジャパン合同会社、以下ファナティクス)。

社内で保有する商品開発・デザインチームに加え、自前の工場や物流倉庫によって機動的な商品展開力を高め、世界最大のオフィシャルライセンススポーツマーチャンダイズ企業として成長し続けている。

事業の一環として、チームやリーグのオンラインストア運営も手がける同社。Eコマース部でシニアマネージャーを務める松本隼さんは、サイトを運営する上で売上の最大化を目指していくためにさまざまな戦略を練っているが、その中で特に重要視しているのは“ファンの生の声を聞くこと”だという。

「弊社にはカスタマーサービス部があり、お客様からご意見や要望をいただく時があります。その貴重な“ファンの想い”をサイト制作や商品開発に活かす場合もあります。

以前に、ホークスファンのお客様から“A選手の商品はないんですか?”とお問い合わせいただいたんです。ある程度の活躍が期待される選手であれば商品化を検討するのですが、その選手は玄人好みの選手だったので、商品の販売を考えていませんでした。しかし、お客様からのご要望もあり販売を開始したところ、想定以上に売れ行きが好調で驚きました。我々だけでは分からないことも多々あります。だからこそ、“生の声”を聞くことは特に大切にしている部分です」

熱狂的なファンであればあるほど、2軍や3軍で汗を流し、華やかな夢の舞台で活躍するために日々努力を積んでいる若武者を応援する人は多い。そういったファンは、その選手に対する思い入れが人一倍強いため、レプリカユニホーム等のグッズを手にして応援したいという気持ちは強く持っているだろう。

そんな人たちの想いを受け止め、より多くのファンのニーズに応えるべく、2軍や3軍で力をつけてきている選手のレプリカユニホームの展開も実施している。
“ファン”を熱狂させられるのは“ファン”
ファン目線で物事を見ることができる人がこの仕事に向いているという
松本さんのチームは、ホークスの実店舗の運営をしている社内現地スタッフと毎日欠かさず情報連係を行っている。

同社は、世界レベルのスポーツイベントや常設チームストアでの運営実績が豊富なため、オンラインショップだけでなく、実店舗の運営も重要な業務のひとつ。その蓄積されたノウハウから、最適なスペース利用とわかりやすいアイテム配置に加え、現地での商品加工(ロゴ、背番号やネームの圧着、彫り込み、刺繍)、周辺のポップアップストア運営等が可能。顧客満足度の向上につながる、さまざまな施策を実施している。

そうすることによって、実店舗の売上を伸ばすだけではなく、オンラインショップのスムーズな運営にもつながると話す。

「弊社でオンラインとオフラインの両チャネルを持っていることにより、在庫の共有が可能となります。例えば、オンラインショップのある商品が在庫切れを起こした時、弊社の工場に製造をお願いせずに、実店舗の余剰在庫を回すことが可能です。そうすれば、すぐにサイトに再掲載することが可能となるので、売上のチャンスロスを減らし、商品を求めているお客様にしっかり届けることができるのです」

プロ野球のシーズンでは、オンラインショップと実店舗との連携がさらに必要となる期間がある。ホークスでいえば、ファンから絶大な人気を誇る定番イベント『鷹の祭典』だ。これは、シーズン中に数試合(2019年は全9試合)開催され、来場者には限定デザインのレプリカユニホームを配布。ファンが選手と一体となって応援でき、いつもより一層お祭りムードが高まるスペシャルイベントだ。この期間は相当のグッズ売上が見込めるため、日々の在庫状況の共有は欠かせない。

「鷹の祭典は、シーズンで一番売上が出るイベント。限定のレプリカユニホームやキャップ、タオル等はすごい売れ行きなので、実店舗と連携することにより、どの商品が人気なのか、逆に何が余っているのかも全て把握することができます。こうした複数拠点で在庫管理を一元化できるというのは、とても画期的な仕組みです」

ファンにとって、“この商品が欲しい!”と思う瞬間に、欲しい商品が売り切れでは売上のチャンスを逃すことになってしまう。ファナティクスは、そういった購買意欲が高まるタイミングを逃さず、きちんと商品を提供することで、常に顧客満足度を高めてきた。松本さんは、そんなファンのニーズに応えられた時が、一番喜びを感じるという。

「この仕事を続けていると、お客様からたまにこんな問い合わせがくることがあるんです。“欲しい選手の商品を通販で買うことができました。本当にありがとうございます”と。そんな声を聞くと『本当によかった』と、心から嬉しく思いますね」

松本さんは、学生時代からバスケットボールをしていて、現在も社会人チームでプレーしている。だからこそ、スポーツに関われるファナティクスの職場で、充実を感じながら働くことができている。

「私はスポーツをやるのも観るのも好きなので、楽しく仕事ができています。ですから、この仕事をやる場合は、マストではないですけど、スポーツが好きな方の方がより活躍できるのではないかと思いますね。

もちろん、Eコマースの部署だったらEコマースの経験というように、それぞれの部署によって求めるスキルはありますが、スポーツ好きであればファン目線で物事を見ることができる。やはりお客様ありきの仕事ですし、お客様に共感してもらって商品を買ってもらうことが大切です。ですから、ファンの目線に立って『自分だったらこんな商品が欲しいな』と企画を提案でき、自主性を持って動いてくれる方が来てくれると我々としては嬉しいですね」

ファンを熱狂させられるのは、やはりスポーツ好きな“ファン”そのもの。ファナティクスとは、一般的に『熱中』『ドハマリ』を意味する。そんな人材が集まるファナティクスのスポーツビジネスは、今後もさらなる熱狂の渦を巻き起こす予感がする。

※2019年11月20日時点
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