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2019年11月15日17時19分

スポーツ関連グッズの企画・製造 松本隼さん「ファンのニーズに特化した“スピーディーな商品の販売”ができる。これが私たちの強みです」(前編)

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知りたい!就きたい!スポーツの仕事 連載23回目
〜スポーツ関連グッズの企画・製造編〜
ファナティクスの松本隼さんに話を聞きました


2020東京五輪に向け「スポーツ業界で働きたい!」と思っている学生や転職を希望している人が多くなる中、どんな職種があるの?どんなスキルが必要なのか?など分からないことが多数あり、仕事の実際を知ることが意思決定には重要となる。そこで、スポーツを仕事としている人にインタビューし、仕事の“あれこれ”を聞く。

Fanatics Japan G.K.
Eコマース部シニアマネージャー
名前:松本隼(まつもと・しゅん)さん

仕事内容
ECサイト運営(システムの改修業務マネジメント、サイト流入施策の戦略作りと実行、サイトのコンテンツ作り/プロモーション策定、来店顧客の分析&サイト改善、商品別の販売傾向分析)

取材・文/佐藤主祥

“ファン向け商品を専門”にできる
自社工場の強み
アメリカ4大スポーツ(MLB・NBA・NFL・NHL)やレアル・マドリードなどの欧州サッカークラブ含め、世界中で300以上のリーグ・チームのグッズの企画・製造 、小売機能等を担うFanatics Inc.(ファナティクス、本社:米国)。

各チームのレプリカユニホームやTシャツ、アクセサリーなど多彩なグッズの製造を行っており、2018年1月には アジア全体での事業展開を進める拠点として、東京にFanatics Japan G.K(ファナティクス・ジャパン合同会社、以下ファナティクス)を設立した。

国内においては、プロ野球の福岡ソフトバンクホークスなどプロ野球5球団に加えて、B1リーグに所属する富山グラウジーズやB2リーグに所属する仙台89ERSとオフィシャルユニホームサプライヤーとして契約。選手ユニホームやファン向けアパレルグッズ等を展開。

また、同社はグローバルで契約している9つの海外チーム/リーグのオンラインストア運営も担当。サイトのデザインからコンテンツの企画・制作まで一貫して手がけており、海外チーム事業はネット通販を中心に展開している。

「どういうキャンペーンを実施し、どんな商品を作り、それをサイトのどこに置けばお客様が探しやすく購入しやすいのか。それぞれのファンの目線で考え、できるだけ要望に応えていくということは、常に考えていることです」

そう話すのはファナティクスで、Eコマース部シニアマネージャーを務める松本隼さん。去年Eコマース事業チームを設立し、各プロジェクト全体の指揮を執っている。サイトの運営・管理はもちろん、チームの生産性を上げていくためのマネジメントも行っている。

そもそもチームや選手の商品は、どのようなプロセスを経てオンラインストアや店頭に並べられるのだろうか。その流れについて、こう説明する。

「まずはどの選手の商品が売れて、どんなキャンペーンやイベントが人気なのか、そういったチームやファンの特徴を把握した上で企画を練っていきます。その中で、『この選手のユニホームは出した方がいいんじゃないか?』『アクセサリー類はもっと増やした方がいい』と意見を出し合い、最終的に球団と選手の承認を得れば商品化が決定します。ただ、選手にもそれぞれこだわりがあったりもするので、商品を出す際には事前に何通りかデザインを提案し“これがいい!”と選んでいただいたものをピックアップします」

商品化が決まれば、あとは自社工場で商品を製造し、同じく自社の物流倉庫に届ける。日本ではこれまで、チームが自らグッズの企画・販売をするケースはあったものの、製造に関しては外部委託するのが一般的だったため、どうしても実現できる商品の種類が限られていた。

だが、自社工場を持つファナティクスは、アパレル商品であればすぐさま製造に取りかかることができる。ホークスのオンラインストアを見ればわかるように、様々なデザインのレプリカユニホームやTシャツ商品が揃っている。“ファン向けの商品を中心に開発できる”ところが、同社の強みでもあるのだ。
予測不可能な“記録”にも対応
機動的な商品展開力
ロサンゼルス・エンゼルスに所属する大谷翔平選手が、新人王を獲得した時の商品
自社工場の保有における強みは、それだけではない。最も特筆すべきは、商品の企画・開発から製造、流通に至るまでの“圧倒的なスピード感”。

例えば、チームの優勝や選手が記録を達成した時など、ファンの記憶に残る“メモリアルな瞬間”が起これば、瞬時にオンラインストアに掲載。最速で翌日にはファンの手元に届くという。自社工場に加え、物流倉庫まで自前で持つからこそ、この機動的な商品展開とスピードを実現している。

「今シーズン、ホークスが交流戦で優勝した時、いち早く優勝記念Tシャツの生産の準備を進めてサイトにアップしました。また、NBAのドラフトで八村塁選手が日本人で初めてドラフト指名された瞬間も、レプリカユニホーム等の商品を協議して、即時に掲載しましたね。

何かの記録に関する商品であれば、ずっと積み上げられて達成されるものが多いので、あらかじめ準備しておくことができます。例えば、ホークスの松田宣浩選手は、昨シーズン終了時点で1500安打まで残り1本だったので、今シーズンが開幕する前に記念の商品はほとんど完成していました」

と記念商品における準備の過程を説明した。しかし、記録は記録でも“突発的な記録”になると話は別だ。プロ野球でいえば、ノーヒットノーランや完全試合、サイクル安打など。このような前触れもなく突然達成される記録に対しては、どのように対応しているのだろうか。

「弊社が契約しているチーム/リーグに関しては生中継で試合を追い、突発的な記録が生まれる場合でも対応できるようにしています。ロサンゼルス・エンゼルスに所属する大谷翔平選手が、2019年6月13日(日本時間14日)に、MLBで日本人初のサイクル安打を達成した時も、社内で見てすぐにアメリカに拠点を置くチームと連絡を取り、商品を迅速に掲載することができました。

我々の一番の強みは『ホットマーケット』をつかむこと。つまり“ファンがメモリアルだと感じる瞬間にグッズを販売”できます。お客様が“本当に欲しい”と望むタイミングを察知し、すぐに商品化してお届けする。この仕事をする上で特に心がけていることですね」

当日ではないとはいえ、このスピーディーな商品展開は他のメーカーにはなかなかできることではない。自社の工場と物流倉庫に加え、社内で保有する商品開発・デザインチームの卓越したスキルと対応能力も見逃せない大きな強み。

『自社工場』『物流倉庫』『商品開発』この"3つの武器"があるからこそ、ファナティクスのファン目線に立った商品が実現できている。(前編終わり)

※2019年11月15日時点
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