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2019年10月2日15時53分

【元プロ野球(独立リーグ)選手 野副星児さん】元アスリートが語る スポーツの仕事「やる」から「つくる」へ -Vol.21-(後編)

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「次のステージに進むとき“出来る事を増やす”が大切です」
元プロ野球(独立リーグ)選手、野副星児さんに話を聞きました


~第21回目~
野副星児(のぞえ・せいご)さん/29歳
プロ野球選手→四国アイランドリーグplus事業/営業企画


取材・文/太田弘樹
野球を引退し
車メーカーの期間工へ
2016年、四国アイランドリーグplusのトライアウトに見事合格し、捕手として高知ファイティングドックスへ入団した野副星児さん。しかし1年後、自由契約を言い渡され、引退を決意。その後に、選んだ仕事は車メーカーの期間工だった。

「臨時の講師に就くという選択肢もありました。しかし、それでは大学を卒業した時と同じになってしまう。それは違うのではないかなと感じていました。迷っていた時に、高校の友人が大手の車メーカーに勤めていて、“期間工として働いてみないか?”と誘ってくれました。その方は、私が選手時代に金銭面で苦しんでいたことも知っていたので、ここなら生活を立て直せると、条件の良い職場を紹介してくれました。そして、一般企業で働いた事がないということもあり決めました」

四国アイランドリーグplusでは前期・後期があり、登録選手になれば報酬をもらえるが、野副さんは前期には登録されず、加えてアルバイトも禁止されていたこともあり、最初の数カ月は無給。経済的に厳しい現役生活を送っていたこともあり、生活を立て直すためにも、給与が良い期間工として働くことを選択した。

また、仕事に就いたと同時に、教員採用試験の勉強も行っていた。周囲も野副さんが大学を卒業した後に、教員になることを望んでおり、また自身も採用試験を合格したいという想いがあったためだ。しかし、野球を『仕事』にしたという経験が、その考えを大きく変えていた。

「選手の時に感じたのが、自分が“商品”だということ。自身の努力次第で、その商品価値が変わる。その考え方ができるようになれたのが、とても良い経験でした。そして、仕事に価値を生み出すことの面白さを感じ、ビジネスに興味を持ち始めました。もし教員になれたとしても、この考え方を具現化できる機会がないのではと…」

2018年7月に採用試験を受験。しかし、合否に関わらず教員になるという意志がなくなっていた野副さん。そんな時、自身が成長できたと感じた四国アイランドリーグplusでは、“どのような仕事をしているのか?”という興味が沸き、理事長を務める坂口裕昭氏に連絡を取り、チームやリーグの仕事内容を聞き、ここで働きたいという気持ちが強くなったという。

「採用試験の一次は合格しましたが、二次で不合格だったんです。働く場所ではないと思いながらも一生懸命勉強はしていたので、正直悔しかったですが、やはり自分にそこまでの想いがなかったということです。結果が出た後にもう一度、坂口さんに連絡をとり、ここで働きたいという想いを伝え、入社にまで至ることができました」
苦手な業務も
日々成長を感じられるように
四国アイランドリーグplus運営事務局で働く野副さん
現在、四国アイランドリーグplusの営業企画で働いている野副さん。選手名鑑の作製、ホームページでの試合結果の更新など、オフィスで業務をこなしている。

「本当にパソコンで作業すること自体が慣れないので、最初は苦労しました。プリンターに接続することだけで、凄く時間かかってしまいました。また電話対応もしてきていなかったので、“電話掛かってこないで”と思っていました(笑)。ただ苦手な業務でも、これができる様になったら次にこんな事ができるという感覚があって、本当に前向きに働けていますね」

今後どのような仕事を任されることになるのだろうか。同リーグの理事長、坂口裕昭氏は、

「1年目は、主にデスクワークです。業務は、電話対応、メディア対応、新聞のスクラップ、公式記録の管理など、ここで働くうえで大切なことを覚えてもらいます。その中でも一番大切なのは、公式記録の管理。四国で戦う選手達の記録は正確に行わなければいけません。それをきちんとできるように覚えていってもらいます。また、野副さんは向上心がとてもあり、幅広く色んな事をやってみたいっていう気持ちがあります。その希望に応じて、色んな業務を担当してほしいと思っています」

最後にセカンドキャリアに向けて、現役選手に向けてのアドバイスを聞いた。

「“出来る事を増やす”です。要するに、とにかく何でもやってみて、選択肢を増やす事をしておいたほうがいいと思います。引退した時に選択肢がないからこそ、次のキャリアを悩むと思います。できることを増やそうとすれば、なんでも前向きに取り組むことができます。“きちんとコミュニケーションが取れるようになる”とか、本当にざっくりしたもので良いんです。そうすると必然的に選べる道が増えたり、何事もやってみようと思えます。

例えば、私が四国アイランドリーグplusに在籍していた時に通っていたジムでは、オーナーさんや利用しているお客さんたちに対して笑顔で接していたら“応援したくなる存在”といってもらえるようになりました。私が初めて登録選手となった試合では、オーナーさんが15名ほど引き連れて観戦しにきてくれたんです。誠意ある対応をしていたら、ファンになってくれる。それが、すごく自信になりました。そこで初めて自分は、笑顔で人と接することができると気が付き”人に喜んでもらいながら営業”をして、”接客もできるようになりたい”と思いました。今までそういった仕事の選択肢なんて考えたこともなく、一辺倒に教員志望という感じでしたが、できることを増やそうと思ったときに、もっと色々な道があると気が付くことができました。

変な話、“声を出してチームの雰囲気を盛り上げる”というのも一つの強みになると思うんです。普段の練習や試合で行っている何気ないことも“将来の強みになる”ということを分かりながら、競技を続けていくことが大事だと思います」
子供たちに野球を指導する野副さん。現役中は”何でもやってみて、選択肢を増やすことが大事”と話してくれた


(プロフィール)
野副星児(のぞえ・せいご)
1990年生まれ、埼玉県出身。日本体育大学卒業後、3年間埼玉県の公立高校に勤務。教員を辞め、2015年に関西を拠点とした野球独立リーグ06ブルズへ入団。翌年、四国アイランドリーグの高知ファイティングドックスへ入団。2017年に引退し、車メーカーで約1年3カ月働き、2019年3月より、四国アイランドリーグplus運営事務局にて勤務。

※2019年10月2日時点
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