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2019年4月18日16時53分

「エンタメ業界を席巻するデジタル革命の根源は“素直さ”“勤勉さ”です」電子チケット発券&マーケティング支援サービス業 河野貴裕さん(後編)

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知りたい!就きたい!スポーツの仕事
連載20回目~電子チケット発券&マーケティング支援サービス業編~
playground執行役員事業推進担当、河野貴裕さんに話を聞いた


2020東京五輪に向け「スポーツ業界で働きたい!」と思っている学生や転職を希望している人が多くなる中、どんな職種があるの?どんなスキルが必要なのか?など分からないことが数あり、仕事の実際を知ることが意思決定には重要となる。そこで、スポーツを仕事としている人にインタビューし、仕事の“あれこれ”を聞いた。

playground 株式会社
執行役員 事業推進担当
名前:河野貴裕(こうの・たかひろ)さん
職業歴:2017年~

仕事内容
・電子チケット発券サービス導入に向けた提案
・電子チケット発券サービス導入先への活用支援
・システム、サービスの開発、改善

取材・文/斎藤寿子

ライトユーザーへの
アプローチに効果抜群
『Quick Ticket』に必要なのは、片手でおさまる“スタンプ”のみ
『Quick Ticket』がエンタメ業界の変革を促すべく注目されている理由とは何なのか。

日本のエンタメ業界において“電子ケット”の開発が遅々として進まなかった要因の一つには、それを読み取る専用機器の導入コストの問題もあった。しかし『Quick Ticket』に必要なのは、片手でおさまるほどの売価2000円の“スタンプ”のみ。導入コストや専用機器を置く場所に頭を悩ますことはない。

「導入していただいた方からは『QRコードを使用していたころとは違って、機器の設置などが必要なく、スタンプさえ用意すれば準備はOKなので、スタッフの現場入りが3時間も遅くなり、働き方改革にもつながりました』という喜びの声もいただいています」と河野さん。

一方、ユーザー側としてのメリットは“手軽にチケットを入手できる”という点だ。例えば、従来のアプリでは、購入したチケットを家族や友人に渡す場合、相手にもアプリをダウンロードしてもらい、会員アカウントなどを取得してもらわなければならなかった。

ところが『Quick Ticket』では、ラインやツイッター、フェイスブックのメッセンジャーなどのSNSにURLを送り、それを開くだけで簡単にチケットを手にすることができる。会場では、画面を見せて係員に“電子スタンプ”を押してもらえば入場することができる。

そんな手軽さに加えて、セキュリティの問題もしっかりと対策されている。ライブのチケットなど複製が転売される恐れのあるものは、複製不可能なアカウントIDとチケットを関連付けたり、受け渡し機能自体を制限したりすることで、転売対策を行う仕組みになっている。

こうしたケースバイケースで変わるニーズに応えて、手軽に設定することができるのも『Quick Ticket』がエンタメ業界から高い評価を受けている理由の一つだ。
“人間力”なくして
普及拡大はない
playgroundの立ち上げから参画し、現在は同社の執行役員および事業推進担当を務める河野さん。エンジニアでもなく、もともとスポーツやエンタメに対して深く興味があったというわけでもなかったという。実際にエンタメ業界でビジネス展開していく中で感じたのは、“知らない”からこその“発見”だった。

「グローバルで見ると、エンタメ業界のICT(※情報通信技術)マーケットはこの10年で急激に成長しています。しかし、それを日本では活かし切れていないというのが現状にあると思います。そんな中、先入観がなかったからこそ気付いたことがたくさんありました。自分たちがやってきたデジタルテクノロジーが求められていながら不足していたピースにピタリと当てはまったんです」

しかし、こうした「気づき」はデジタル知識を前面に押し出すのではなく、謙虚な姿勢にこそあったという。

「自分自身の体験をもとにしていえば、エンタメ業界を対象にするうえで必要なことは、“誠実”であることだと思いますね。会社設立前のヒアリングの中で『ICT業界さんの提案は格好いいけど割に合わない事が多い』というコメントを頂いた事があります。ICT業界って、ついつい未来的でかっこいい提案をしたくなりがちだと思いますし、それはイノベーションの為に、ある種必要な視点だと思います。

ただ、副作用として現場との不協和音が発生しがちでもあります。不協和音を無視して押し通してしまうと、すべて現場にしわ寄せがくるんです。特にエンドユーザーを相手にしているエンタメ業界では、現場で常にトラブルが発生し、結局はお客さんに迷惑をかけてしまいます。だからこそ、きちんと条件や不可能なことはすべて伝えて、わからないことは素直に教えていただく。そうした姿勢がとても大切だと思います」

また、エンタメ業界はさまざまな関連企業のもとにイベントが開催されている。そのため、システムを開発するには多方面からの情報や要望を収集し、そのうえで今ある課題を整理し、本当に必要なものを見極め、アプローチ方法を考えるという、論理的思考が必要だ。

「私たちは、いわゆる“第六感”といった感覚で動くことはほとんどありません。雰囲気的に“いける”は、それこそ“知ったふり”の慢心につながるからです。そうではなく、ロジックツリーをきちんと考えていくことが重要です」

とはいえ、そうした知識や思考は“後からいくらでも身に付けることができる”と河野さんはいう。

「デジタルテクノロジーを駆使したICTの業界は一見、派手さがありますが、実際は人に対する“素直さ”と、物事に対する“勤勉さ”が、この仕事をするうえで、一番求められていると思います。せっかくテクノロジーに対する高度な知識を持ち、素晴らしいシステムを開発しても、結局それを実際に使い、エンタメの現場に広く普及させていけるかどうかは“人”なんです」

テクノロジーの世界も、ベースにあるのは『人間力』。


(プロフィール)
河野貴裕(こうの・たかひろ)
早稲田大学卒業後、大企業向けERPパッケージソフトメーカーワークスアプリケーションズにてEコマース領域の企画提案営業を担当。大手小売、アパレルメーカー、化粧品メーカーなどに対してCRM、コールセンター、マーケティング、SCMのシステム提案を担当。2015年からはオムニチャネルコンサルティングファーム、Leonis & Co.の営業責任者に従事。2017年6月にエンタメ業界に特化したデジタルファームplaygroudの立ち上げに参画、執行役員に就任。現在は電子チケット発券クラウドシステム『Quick Ticket』の事業推進に従事。HP:playground
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