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2018年11月8日16時09分

初代ボートレースアンバサダー植木通彦氏が語る 『ボートレーサー引退後の道筋』

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植木通彦氏に話を聞いた
一般財団法人BOATRACE振興会は、2018年5月30日に『ボートレースアンバサダー制度』を創設。ボートレース界のレジェンドである植木通彦氏が、初代ボートレースアンバサダーに就任した。アンバサダーの役割として、レースの魅力を様々な場面で伝え、新たなファンの獲得に繋げる広報的な活動を行う。

「ボートレースの認知度はあります。しかし、野球やサッカーのように子供のころから見る、もしくは家族で楽しめるというイメージはないんですよね。あと、ボートレースって少し難しく思われている部分があって…それを分かりやすく解説し、多くの人に魅力を伝えてきたいです」

それに加え、この『アンバサダー』制度は、ボートレーサーとして輝かしい成績を残した選手に“セカンドキャリアの選択肢の1つ”になればという想いがこめられている。植木氏は、今後引退した選手の一助になる場として、アンバサダーの仕事の土台を作っていく役割も担っている。
植木氏は、広報的な活動を行うことに加えて、引退した選手の一助になる場としてボートレースアンバサダーの仕事の土台を作っていく
「1993年、公営競技初の獲得賞金2億円を達成し『日本プロスポーツ大賞』に選出されました。自信を持って授賞式に行ったんですが、フラッシュの数とか拍手の数が少なくて…とても悲しい経験をしたんです。その時に“浮かれている場合じゃない。さらに競技を頑張ろう”と決意しました。また、サッカーや野球などのメジャースポーツと何が違うのかと考えたときに、競技を引退した人の輝き方が違うのかもしれないと思ったんです。

元プロ野球選手やサッカー選手は、引退後テレビ出演など様々なところで活躍しています。そのような事を行えているから、その競技のブランド力も増していく。だからこそ、今回ボートレース界でファンと接することができるポジションが新しくできたことは、非常に良いことだと思います。

選手は、ほぼ1年間休みなくレースがあるので、OBが現役レーサーの事を伝えていくことが大切です。例えば、松井繁という選手がいるんですが、彼は生涯獲得賞金36億円を越えています。その数字を聞くとみなさん“凄い”といってくれるんですが、それだけで終わってしまうんですよね。技術面や競技に対する取り組みなど、その凄さをきちんと伝えていけるのは、現役でレースをしていた人の役目です」

植木氏は、優勝74回、生涯獲得賞金は22億円を超える成績を残し、39歳で引退。その後は、ボートレーサー養成所(旧やまと学校)の所長として後進の育成にあたり、選手の価値向上に努めていた。そして今回アンバサダーに就任したことで、引退後のキャリアについても尽力していく形となり、現役時代の想いを形にできる機会が訪れた。
“次”を考える一助になる
ボートレーサーは引退後もボートレース関係の仕事に就くことが多い。史上78人目となる通算2000勝達成者、荘林幸輝さんは2012年12月に引退後、13年1月からボートレーサー養成所の教官として勤務している
ボートレーサーは引退後、専門チャンネルでの解説、レース場でのレスキュー、養成所の教官を行うなど、ボートレース関係の仕事に就くことが多いという。植木氏はこれについて、

「経験を活かしやすい場所となると、やはりレース関係の仕事に就くことがいいですよね。特にレース場のレスキューにおいては、転覆や事故をした時とかの気持ちも分かりますし、 自身が乗っていて進行なども理解しているので、元選手の経験を活かせます」

また、引退年齢が他のスポーツよりも長く、40代後半~50代前半と息が長いのが特徴。

「セカンドキャリアを考えるというよりは“長く走るためにどうするか”ということに重きをおく人が多くいます。しかし、アンバサダー制度ができたことで、引退した後にボートレースの魅力を伝えていくためにはどうしたらいいのかを考えながら、現役時代を過ごすきっかけにもなると感じています。その一歩が、新しいことを始めるためには大事になってきます」

植木氏とともに、ボートレース界の新たな試みがスタートを切った。

取材・文/太田弘樹
(プロフィール)
植木通彦(うえき・みちひこ)
1968年4月26日生まれ、福岡県北九州市出身。86年11月に59期生として福岡でデビュー。選手生活3年目にボートレース桐生で転覆した際に顔面を75針も縫う大けがを負うも、ケガをしたボートレース桐生で復帰。現役時代はSG10勝、GⅠ23勝をマークし“艇王”の名で親しまれた。2007年、39歳で引退。現在は、初代ボートレースアンバサダーとして、ボートレースの普及などのため様々な活動を行う。HP:植木通彦オフィシャルブログ
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