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2018年7月17日13時09分

プロ野球のパ・リーグ6球団が参加した中途採用イベント『パ・リーグ キャリアフォーラム』。関心が高いスポーツ業界への転職を成功させるためには?

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転職サービス「DODA」編集長である大浦征也氏に話を聞いた
プロ野球のパ・リーグ6球団とパシフィックリーグマーケティング(PLM)が中心となって企画した『パ・リーグ キャリアフォーラム』が、2018年5月25日に東京・ベルサール飯田橋ファーストで開催された。

これは、スポーツビジネス業界への転職を考える人向けの中途採用イベント。今回は、このイベントの集客やコンテンツなどのサポートを行った転職サービス「DODA」編集長である大浦征也氏に、キャリアイベントを行うことになったきっかけやスポーツ界への転職事情、転職に必要なことを聞いた。

「今年3月に、パーソルホールディングスが、パ・リーグとオフィシャルスポンサー契約を結びました。契約をした中で単に金銭的な支援や広告目的だけの取り組みではなく、社会に対して価値ある何かをしていこうということになりました。

私自身、スポーツ関連のキャリア支援を通して、様々なスポーツ球団などと話をしていると、中々表に出せないけれど実際には、結構求人募集しているところがあるんです。ソフトバンク、楽天、DeNAというチームが誕生していく中で、近年は求人募集もかなり増えてきているんです。また、直近でいえば、バスケットボールのBリーグも立ち上がりました。そこに野球やサッカーで働いていた人材が、バスケットボール界へ転職するというケースもあり、人の流動化が激しくなっているんです。

加えて、デジタルマーケティングやデータアナリティクスなどの専門家も必要になっているんです。つまり業界内での人事の移動だけでは補えないような、人の動きがでてきています。であれば、一堂に会してフルオープンにしてやってみようということになりました」

イベントには、福岡ソフトバンクホークス、埼玉西武ライオンズ、千葉ロッテマリーンズ、北海道日本ハムファイターズ、東北楽天ゴールデンイーグルス、オリックス・バッファローズのパ・リーグ6球団に加え、サッカーJリーグからヴィッセル神戸、川崎フロンターレ、プロバスケットボールBリーグから横浜ビー・コルセアーズ、栃木ブレックス、卓球のTリーグなど、競技の枠を超えて16の企業・団体がブースを出展。
パ・リーグ6球団加え、サッカークラブ、バスケットボールチームなど、競技の枠を超えて16の企業・団体がブースを出展した
これだけ多くの競技団体が集まったのは日本初で、来場者数は1424人と盛況の中、幕を閉じた。しかし“スポーツ界への転職が簡単に行えるようになった”とは言い難いのが現状だという。

「例えば、転職希望者側からすると年収や働き方とかいう問題もあるでしょうし、スポーツの企業側も多くの人の採用活動をした経験もなく、慣れていません。このイベントを通して、簡単にたくさんの決定者が出てくるという形にはならないと予想しています。

また、多くの業界で求人が活況な中において、スポーツ業界への就職状況は、必ずしも一般的なそれとは違うというのが現状です。Jリーグ、Bリーグ、野球球団など多くのクラブがある中で、どのくらいのチームが採用を積極的に行えるのかといわれれば、現実的に数クラブに限定されてしまうのは仕方ありません。

もっと球団やクラブがビジネスとして儲かる仕組み、チームの勝敗や順位に左右され過ぎない組織基盤を創りだす仕組みを生み出していき、収益を担保して、人を採用できる資金に回さないといけません。ただ、みんなこのままではいけないと思っていて、今回のイベントのように、全く動かなかったこの業界に変化が表れているというのは事実です」

未だに狭き門のスポーツ界。しかし、道が開けてきたことも事実。支援した転職希望者1万人を超えている大浦氏に、スポーツ界に転職するためにはどのようなことが必要なのか。3つのアドバイスをもらった。

「1つは“スペシャリティ”を持つことが大事です。多くの場合、スポーツ業界はスポーツがとにかく好きな方やファンを採用したいという訳ではありません。誰も持っていない技術というわけではないんですけど、経理や法務など経営をするうえで絶対に不変である職種は必要になってくるので、そういうところの専門家のほうが実は入りやすかったりするんです。また営業にもスペシャリティは存在します。球団を考えた時に、地元を回るのか、億単位のスポンサー契約をまとめるのかなど、様々なものがあります。自身が行っている営業職が、球団・クラブ経営にどう活きるのか、どのポジションで活躍できるのかを考え、理解しておくことも重要ですね。

一方で、スポーツクラブは多くの場合、中小企業の規模感で経営されています。泥臭い仕事も多くこなさないといけないし、一人の役割も多くあります。専門性のスペシャリティを持ちながらも“自分の仕事の範囲も限定しない人”が、2つ目に大切です。

3つ目は“人脈”です。今は、スポーツ組織の経営幹部を生み出す育成の場として、スポーツヒューマンキャピタル(SHC)や社会人大学などで、学べる環境も増えてきています。そういうところで、スポーツ界の人たちと繋がっていくことはとても大事です。

何の専門性で勝負をしに行くのかを決めて、かつ柔軟なメンタリティを持ち、何らかの形で繋がっていくということを意識したほうがいいでしょうね」
スポーツ界に転職するために3つのアドバイスを話してくれた大浦氏
来年はラグビーワールドカップ、そして再来年には東京五輪・パラリンピックが開催される中、スポーツを見る・触れる機会は増えていく。それをきっかけに、スポーツ団体やクラブ・球団が、新たにファンになった人たちをどれくらい囲い込んでいけるのか。

資金が増え、規模が拡大し、求人が増える仕組み作りが2020年以降に確立されるようになれば、日本のスポーツ界の未来は、さらにより良いものになっていく。

取材・文/太田弘樹

(プロフィール)
大浦征也(おおうら・せいや)
2002年インテリジェンス(現:パーソルキャリア)に入社し、一貫して人材紹介事業に従事。法人営業として企業の採用支援、人事コンサルティング等を経験した後、キャリアアドバイザーに。担当領域は、エンジニアから営業・販売、管理部門まで多岐に渡り、これまでに支援した転職希望者は1万人を超える。その後、DODAキャリアアドバイザーの総責任者、法人営業部隊も含めた地域拠点(札幌、仙台、静岡、名古屋、大阪、広島、福岡等)の総責任者等を歴任し、2017年4月に、転職サービス「DODA」の編集長に就任。JHR(一般社団法人人材産業サービス協議会)キャリアチェンジプロジェクト、ワーキングメンバー、SHC(公益財団法人スポーツヒューマンキャピタル)理事にも名を連ねる。
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