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2018年6月7日16時27分

「常に最先端のものに触れる」池田純氏が語るスポーツを仕事にする方法と2020年以降のスポーツビジネス

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2012年横浜DeNAベイスターズの初代社長に就任し黒字化を実現した池田氏に話を聞いた
2012年横浜DeNAベイスターズの初代社長に就任し、観客動員数を1.8倍に増加、黒字化を実現した池田純氏が学長となり、スポーツ界の要人をゲストに迎え、スポーツビジネスの最前線を学ぶ場として開講された『Number Sports Business College(ナンバースポーツビジネスカレッジ)』。2017年4月~2018年3月で、第一期が終了し2018年4月より第二期がスタートした。

発起人である池田氏に『Number Sports Business College』を始めた理由や将来においてどのようなスポーツビジネスが必要になってくるのか。さらに、スポーツ界で働くために重要なことなど、様々な話を聞いた。

「私は野球のビジネスを行っていました。野球は日本で一番大きなスポーツビジネス。しかし、他にもたくさんスポーツはあるわけで、そのことを全部知りたいと思ったことが、開講したきっかけです」

第一期では全24回が開催され、スポーツ庁長官の鈴木大地氏や日本サッカー協会最高顧問の川淵三郎氏、Bリーグ千葉ジェッツの代表である島田慎二氏などがゲスト講師として参加した。池田さんは1期目を振り返りこう話す。

「様々なスポーツ分野の最先端の話を聞くことができました。なおかつ、聞きたいことを直接聞けるんですから、とても貴重な時間でしたね。受講生の中には、スポーツ界に就職したいと思っている人もいました、しかしサッカーのクラブチームや野球の球団などで働くだけが全てではないと思っているんです。スポーツビジネスって、今後マイナースポーツを含めて、色々なところでビジネスチャンスがあると思っています。この講義を通じて、スポーツビジネスが狭義ではなく広義だとみなさんが気づいてくれたでしょう」

講義のテーマになっているのが『2020の先を見据えた、スポーツの未来を考える』。2019年にラグビーワールドカップ、2020年には東京五輪・パラリンピックが開催されるため、盛り上がることは間違いない。しかし、それ以降についてスポーツ界は、どうなっていくことが理想なのだろうか。

「私は『スポーツエンターテインメントビジネス』にしていくことが大事だと感じています。1つ成功すると、みんなそれを上っ面だけ真似する。それがずっと繰り返されていくと、結局みんな“飽きる”んですよね。だからこそ、エンターテインメントの部分って、とても大切でどんどん進化していかなきゃいけない。

例えば、音楽ビジネスのほうが進んでいると思うんです。ですが、それを真似しなきゃいけない訳ではないんですよね。そういうものを見ながら、どういう風にスポーツをエンターテインメントビジネスに進化させていけるかということを考えないといけない。スポーツビジネスを横並びで勉強したり、真似するだけではなくて、やはり外の世界というのをもっと見なくてはいけないんです」
受講者の中から実際にビジネスが生まれたケースもある
スポーツ界の最先端の人に話を聞くことが重要と話す池田氏
2018年4月12日からスタートした第二期目。1回目は元サッカー日本代表の中田英寿氏、そして2回目には全日本スキー連盟常務理事であり、元アルペンスキー選手の皆川賢太郎氏がゲスト講師として登壇。スポーツ界の最先端の人が、現状を話してくれる滅多にない機会を活用してほしいと池田氏は話す。

「過去のものを研究して、座学で勉強するっていう世界よりも最先端のものに触れ続けることのほうが、重要だと思っているんです。お客さんを共感させ、楽しませなくてはいけないので、過去の成功と同じことを行っても伝わらない。だからこそ、どんどん新しいものを生み出していかないといけない。

欧米では、最先端の人が来て、最先端の世界の話を聞ける講義や授業が人気です。それが一番為になるって理解しているんですよね。勉強って色々あるので、過去のものを研究して勉強することも大切なことですが、最先端のものを見て、聞いて、知れるという空間は日本に中々ないので、まずここで様々なスポーツビジネスを知ってほしいです。そして、ここは出会いの場でもあります。実際に、講師たちと直に会って生まれたビジネスもあるんです」

サンウルブズの CBO でもある池田氏。受講者だったアートディレクターの山口暁亨氏が、ボールをネコに代える“にゃんウルブズ”のアイデアを提案。企画は採用され、誌面だけでなく、グッズ販売までされている。さらに、BMX普及活動をしている受講生が、B リーグ・千葉ジェッツ代表の島田氏の目にとまり、千葉ジェッツ対アルバルク東京のハーフタイムにBMXショーを実現するなど、様々なビジネスがこの場で誕生している。

決して扉が開かれているとはいえないスポーツ界だが、働きたいと思っている人材は多い。

「スポーツビジネスに興味のある方ってたくさんいると思うんです。だけど、実際に働くとなったら、まだ実感がないというか…普通の仕事のように感じている人は少ないと思うんですよね。勝手に自分で難しいんじゃないかとか、考えてしまいがちです。

でもそんな時代は終わっていて、興味のあるスポーツをビジネスにできるようになってきていると思うんです。マイナー・地域スポーツだって、これからどんどん発達していくし、そこには当然、周辺ビジネスだってついてきます。

私も球団の社長になろうと思ったときに、学ぶような本も無ければ、教えてくれる場所もありませんでした。だから、最先端のスポーツビジネスを行っている人の話を色々聞きに行きましたし、米国のメジャー球団にも行きました。しかし、ベイスターズで何を考えて、どうしてきたかということを私が話してもそれは過去のもの。やはり“最先端”に触れることが一番で、そのためにこういう場所があったりします。働きたいと考えているなら、まずは1歩踏み出すことです」

取材・文/太田弘樹
(プロフィール)
池田純(いけだ・じゅん)
1976年1月23日生まれ、神奈川県出身。早稲田大学商学部卒業後、住友商事、博報堂を経て独立。2007年にディー・エヌ・エーに参画し、執行役員としてマーケティングを統括する。2012年横浜DeNAベイスターズの初代社長に就任。2016年まで5年間社長をつとめ、観客動員数は1.8倍に増加、黒字化を実現した。現在は、日本サッカー協会(Jリーグ)特任理事、明治大学学長特任補佐スポーツアドミニストレーター(AthleticDirector)、文藝春秋Number Sports Business College学長などの肩書きを持つ。著書に「空気のつくり方」(幻冬社)、「最強のスポーツビジネス」(文藝春秋)がある。

※Number Sports Business Collegeは2018年4月より第二期目がスタート。今後も元プロ野球選手の桑田真澄氏や海洋冒険家の白石康次郎氏など、スポーツ業界を牽引する講師が登壇する。申し込みはこちらから。

※データは2018年6月7日時点
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