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2018年6月1日14時06分

「一番に大事にしているのは“売る”ことではなく、お客さんの“笑顔”です」野球専門用品ショップ 澤木勇太郎さん

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知りたい!就きたい!スポーツの仕事
連載15回目~野球専門用品ショップ編~
ベースボールマリオ店長の澤木勇太郎さんに話を聞いた
2020東京五輪に向け「スポーツ業界で働きたい!」と思っている学生や転職を希望している人が多くなる中、どんな職種があるの?どんなスキルが必要なのか?など分からないことが数あり、仕事の実際を知ることが意思決定には重要となる。そこで、スポーツを仕事としている人にインタビューし、仕事の“あれこれ”を聞いた。

企業:スポーツマリオ
役職:野球事業部 ベースボールマリオ店長
名前:澤木勇太郎(さわき・ゆうたろう)さん
職業歴:2010年~

仕事内容
・接客&販売
・用具のメンテナンス
・製品の企画開発

取材・文/斎藤寿子
“野球に恩返しがしたい”がきっかけで入社
小学3年生の時に友人から誘われたことがきっかけで野球を始めたという澤木勇太郎さん。憧れの選手は、小学校時代は仁志敏久さん(当時巨人)、中学校時代は宮本慎也さん(当時東京ヤクルト)。いずれも“守備の達人”として、人気を博した名内野手である。

そんな澤木さんは、高校、大学でも野球をしていく中で、いつの頃からか“野球に携わる仕事がしたい”と考えていたという。

「続けていく中で、自分自身が“野球に育てられてきた”と感じるようになったんです。それで、野球に恩返しがしたいと思うようになりました」

具体的に考えるようになったのは野球部を引退した大学4年生の夏。大学では経営学科を専攻しており、小売りの仕事を考えていたという。そんな矢先、インターネットで見つけたのがスポーツマリオの社員応募だった。

2010年4月に入社した澤木さんは、野球用具を専門に扱う「ベースボールマリオ」に配属。2014年には早くも店長に抜擢された。仕事の内容は、販売、接客、メンテナンス、商品管理など多岐にわたる。ショップ店員・店長として、澤木さんが大事にしているのは、何なのか。

「もちろん仕事ですから、店長としては売上げの数字も重要です。でも、私が一番に大事にしているのは“売る”ことではなく、お客さんの“笑顔”。実際に購入する・しないに関わらず、ショップに足を運んでくださったお客さんが“納得”や“満足”して笑顔で帰ってくれることなんです。それこそ、お店に来て、もっと野球を好きになってくれることが喜びです」

なかでも接客で大事にしているのは“コミュニケーション”。はじめから商品の説明をするのではなく、その顧客がどんな思いで、どんなことを求めてショップに足を運んだのか。それを会話や、あるいは表情、しぐさからくみ取り、その要望に応じて手を差し伸べる。

「まずは、お客さんとの会話を楽しむようにしているのですが、店員に話しかけられたくないという方もいますよね。一人でじっくりと見たい、という人もいる。そういう方には、ゆっくりとその方の時間を楽しんでもらうように、でも何かあった時には声をかけてもらえるように、少し離れたところで見守るようにしています」
コミュニケーションの場「GLOVE-BULLPEN(グラブブルペン)」
“アスリートファースト”ならぬ“お客さんファースト”の姿勢は、店内にも広がっている。店内を見回すと、スポーツ用具ショップによくあるポップが、ほとんど見当たらない。それには、澤木さんのこんな思いがある。

「ポップをつけることで、その商品の特徴や価格は分かるんですが、僕は一番にお客さんとつながりを持ちたいと思っているんです。だから直に会話をしながら、どういうものがそのお客さんに一番合っているのか、ということを一緒に探したいんです」

そんな顧客とのコミュニケーションの場を、澤木さんは「GLOVE-BULLPEN(グラブブルペン)」と名付けている。野球用語でもある「ブルペン」とは、実は闘牛場での闘牛の待機場所のことを指す。

「店内にあるグラブたちが、お客さんに購入してもらって、グラウンドに出ていくわけです。ここにあるのは、その時を待ち望んでいるグラブたちの待機場所です」

顧客にはもちろん、用具にも愛情を注ぐ澤木さん。店長を務めるベースボールマリオには週末100人以上が来客する盛況ぶり。関東圏内はもちろん、北海道や九州などにも“ベースボールマリオファン”がいる。

さらに、店長となって以降は“新しい価値の創出”にも取り組んでいる。例えば、5年ほど前から始めたのは、カジュアルキャップにオリジナルの刺繍を入れるという企画。好きな言葉や、チーム名、チームのロゴを入れることができるとあって、今では問い合わせも多い。

「自分が所属しているチームのロゴを、普段かぶるカジュアルキャップにも入れたいという方も結構いらっしゃるんです。実は、僕自身がキャップが好きで、自分用にやっていたんです。それをSNSにあげていたら、どんどん問い合わせが来たのがきっかけでした。今では他のショップでもやっていると思うのですが、始めたばかりの当時はまだほとんどやっているところはなかったみたいで、珍しがられました」
普段の生活をしっかりすることが良い接客に繋がると話す澤木さん
入社して9年目、店長となってからは今年で6年目を迎えた澤木さんは“今の仕事にはやりがいがあって、毎日が充実している”と笑顔で語る。

「もちろん仕事ではあるのですが、僕にとってはそれだけではないんです。言葉に言い表すのは難しいのですが、お金とか数字だけを追ったものだけではなくて、好きな野球に携われていることが何より嬉しい。なので、小売りとして微力ながら野球の魅力を伝えていけたらなと思っています。それが、私なりの野球への恩返しになると思っています」

人生訓は、中学時代に先生に教わった『人道即球道』

“野球部である前に、まずは人としての道を大事にする”という意味。だからこそ、グラウンド外での日常生活においても誠実に取り組んできたという澤木さん。どのような方がこの仕事に合っているのだろうか。

「特に接客は、人間性が出てしまいます。ですから、普段の生活がそのまま出てしまうんです。だから、やっぱり職場以外での生活もとても大事です。まさに“人道即球道”だなと。野球部だったら、例えば練習に遅刻をしないとか、そんな一つ一つのことが、結局はつながるのだと思います。それ以外の専門的なことは、入社してからでも大丈夫です」

“お客さんファースト”の姿勢をいかに持てるか。この仕事において一番重要なことだ。
【店舗情報】
HP:ベースボールマリオ
営業時間:12~20時(平日)、10時30分~20時(土日祝)※年中無休
住所:東京都世田谷区北沢2-19-2月村光ビル 2階
電話番号:03-6413-8255
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