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2018年5月24日15時27分

元アスリートが語るスポーツの仕事「やる」から「つくる」へ-Vol.12-元バレーボール選手 迫田さおりさん

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「バレーボールと仕事は一緒。私を成長させてくれる場所」
元バレーボール選手迫田さんの新たなる道は?
~第12回目~
迫田さおり(さこだ・さおり)さん/30歳
バレーボール選手→バレーボール教室・解説、イベント・テレビ出演

取材・文/太田弘樹
引退後はバレーの仕事をしないはずだった
高校卒業後、バレーボールVプレミアリーグ東レアローズに入団。2010年には全日本のメンバーに初選出され、初出場となった2012年ロンドン五輪では、チームを28年ぶりの銅メダルに導く活躍を見せた迫田さおりさん。昨年5月に、現役生活にピリオドを打った。

「実は、ロンドン五輪が終わったあとから“引退”は常に考えていました。もう悔いはないって思いながらも、私を必要だといってくれる人たちがいて、それが本当にありがたく。また、両親を喜ばせたいっていう思いもあり、続けさせてもらっていました。

その後、2016年リオデジャネイロ五輪にも出場し、11年間という選手生活を本当にやり切らせてもらったので、引退したことに悔いはありません。お世話になった東レアローズのスタッフのみなさんに“本当にお疲れ様でした”といってもらえ、自分の中では最高の終わり方ができました」
高校卒業後、東レアローズに入団。2012年ロンドン五輪では日本女子チームを銅メダルに導く活躍を見せた
引退から約1年、現在は小学生を対象にしたバレーボール教室や試合の解説、イベント・テレビに出演するなど、幅広く活動。しかし、自身の中で今の活動は“予想外”だったという。

「現役中から考えていたんですが、辞めたらバレーから離れると思っていたんです。一時的に距離を置くということではなく、きっぱりと関わらないと考えていました。それには理由があって、今仕事をしているような表舞台に出て“何かをする”ということが苦手だったので、向いていないと感じていました。

現役中はコートで表現すれば良かったので、基本的にしゃべらなかったんです。自分のこともあまり話すタイプではなかったですし、“話す”ってなったらチームメイトだけでした。ただ辞めてからありがたいことに、イベントや解説などの仕事をいただき、色々な方と話すようになったんです。でも“私こんなに自分のこと話す人だっけ?”と、現役の時と全く違う自分がいて、本当の私って何なんだろうって…すごく悩んだ時期もありました。

でも先輩方から“バレーを続けていろんな経験をさせてもらったんだから、それをしっかり伝えることも役目だよ”といってもらい、私で何か力になれることがあるなら、がんばらないといけないって、思えるようになったんです」
自分が進むべき道を探している
社会人バレーボールリーグ『FLV(フォレックスリーグ)』のスペシャルゲストとして試合の解説を行う
現役の時には、聞かれる・教わる側だった迫田さん。わずか1年で、全く逆の聞く・教えるという立場になり、ギャップを感じつつも自分にどんな事が向いているのか。その答えを探している。

「解説やイベント出演など、同じ仕事をされている先輩方に“何でやっているんですか”“どういう思いでやっているんですか”と自分に無い感覚を聞いて、参考にさせていただいています。あと、人の想いや考え方を聞くのは元から好きなんです。『インタビュー』ってなると、まだ少し緊張しちゃって、形式ばった受け答えになってしまうんですが、その人が“どのような気持ちで競技を続けているのか、どうしてこのスポーツを始めたのか”など、興味はすごくあります。

だから心理学はすごい気になるんです。人の考え方とかを自分が吸収できて、その考え方ができたら、もっと面白いかもしれないとか。それを周りの人にも教えていけたら、その人たちが幸せになるかもって。色々な人の話を聞いて、それを教えていけることができればラッキーかなって漠然と考えています。

正直、やりたいことが明確で、進みたい道をしっかり作って、一生懸命に走れている元アスリートの方を見ていると羨ましいです。私は“これがしたい”という強いものがないので。だから、仕事の中で、自分がやりたくて興味を持てる“何か”を見つけたいと思っているんです。今はいろいろ経験させてもらって、本当に感謝しています」

今年3月には、地元である鹿児島で行われたマラソン大会のアンバサダー&ゲストランナーとして参加。いつもテレビで見ていたマラソンのイメージは“一人で走る”だったが、自身が初めてマラソンを走って感じたことは“人と励まし合いながらゴールを目指せる”というものに変わった。迫田さんは、見て終わりではなく『自身で経験して感じたことを率直に伝えていきたい』と付け加えた。
現在、解説やイベント出演、インタビューなど様々な活動を行っている迫田さん。仕事から、将来何をするべきか考えている
そして、名刺の渡し方や文章の書き方など、社会人としてきちんと仕事ができるように、少しずつビジネススキルの習得にも取り組んでいる。最後に、迫田さんにとって『仕事』とはどういうものなのかを聞いた。

「バレーボールは、競技・私生活と全ての面において、私を成長させてくれたものでした。そして、仕事をしている中でもたくさんの方に会い、私になかったものを気づかせてもらい、それを吸収し、成長しているって感じられるんです。だから、仕事もバレーと一緒で”私を成長させてくれる場所”って、最近思えるんです」

バレーボール選手を卒業した迫田さん。仕事をしていく中で、どのように成長していくのか。今後のキャリアからも目が離せない。 

※データは2018年5月24日時点
(プロフィール)
迫田さおり(さこだ・さおり)
1987年生まれ、鹿児島県出身。鹿児島西高校卒業後、Vプレミアリーグの東レアローズに入団。2010年全日本女子のメンバーに初選出。2012年に、ロンドン五輪で銅メダルを獲得。2016年リオデジャネイロオリンピックに出場し、ベスト8に進出。Vプレミアリーグでは、ベスト6を2回、得点王1回、輝かしい記録を残し、2017年5月に引退。
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