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2018年5月17日13時22分

「要望に“スピード感”をもって応える。その結果、勝利につながることが最高のご褒美です」スポーツIT企業 宮田誠さん(後編)

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知りたい!就きたい!スポーツの仕事
連載14回目~スポーツIT企業編~
ユーフォリア代表取締役の宮田誠さんに話を聞いた
2020東京五輪に向け「スポーツ業界で働きたい!」と思っている学生や転職を希望している人が多くなる中、どんな職種があるの?どんなスキルが必要なのか?など分からないことが数あり、仕事の実際を知ることが意思決定には重要となる。そこで、スポーツを仕事としている人にインタビューし、仕事の“あれこれ”を聞いた。

企業:ユーフォリア
役職:代表取締役/Co-founder
名前:宮田誠(みやた・まこと)さん
職業歴:2008年~

仕事内容
・コンディショニング管理
・各種データベース開発などスポーツ領域におけるITソリューションの提供
・スポーツマーケティング、コンサルティング

取材・文/斎藤寿子

前編はこちらから
エディジャパンが残した“レガシー”
2012年、ラグビーフットボール協会から“ITで選手の体調管理を”と依頼された宮田誠さん。そんな中、最も苦労したのは“スピード”だった。エディHCからの要望がスタッフを介して届けられると、そのほとんどが即時対応をしてほしいという要望だった。

「エディさんは、とても厳しい方ですよね。それは選手への指導だけでなく、チームに関わっている人たち全員に対しても同じだったと思います。要求にはすぐに応えなければいけなかったし、もちろん結果も求められる。そうしたスピード感についていくのに、私たちも必死でした。でも、ご自身もいつ寝ているのかと聞きたくなるほど、常に動いている人でしたし、それくらい集中してやらなければ、あの結果を生み出すことはできなかっただろうと思います」

そのため、ユーフォリアでは人員体制はもちろん、システム自体を効率化。すぐに要望に応えるとともに、即時に現場からフィードバックしてもらうことで、常により良いシステムを提供できるようにした。このことが現在も活かされている。

ラグビー日本代表とのプロジェクト以降、ユーフォリアはスポーツビジネスが主力業務のベンチャー企業として舵を切った。いくつかの大学とも連携し、スポーツ医学のバックグラウンドもある現在のシステムは、ユーザー側がカスタマイズできるような仕組みとなっており、より幅広い要望に応えることができる。宮田さんは、

「あの時に鍛えられたからこそ、今のユーフォリアがあります。そういっても過言ではないほど、私たちにとってあの時代に日本ラグビーチームに携わらせてもらったというのは大きい。もちろん、いろいろと大変なことはありました。

しかし、そのすべてがあの南アフリカ戦で吹き飛びました。最後にトライが決まった時は、何とも言えない感情が沸いてきましたね。スポーツにおける勝利というのは、何よりのご褒美。そして『ONE TAP SPORTS』は、エディジャパンが残した“レガシー”だと思っています」
“不確実な未来に対してワクワク”できる人が
この仕事に合っている
現在、およそ30競技250チームが『ONE TAP SPORTS』を活用している
その“ご褒美”はビジネスにも影響した。ワールドカップ後、ユーフォリアの元にはさまざまなスポーツチームから問い合わせが殺到したという。

「実は、ワールドカップの前からONE TAPは、ほかのスポーツにも必ず役立つという確信がありました。そのため、いろいろなチームへ紹介に行っていたんです。でも、当時はなかなか理解してもらえなかった。しかし、ラグビー日本代表が結果を出したことで注目されるようになったんです」

現在では、およそ30競技250チームが『ONE TAP SPORTS』を活用。10競技以上の日本代表チームから学校のクラブチーム、さらにはパラリンピック競技まで多岐にわたる。そして『ONE TAP』という名称には、こんな思いが込められている。

「『ONE』には“チームを一つにする”という意味があって『ONE TAP』は“1本の指でカンタンにすべてをタップできる”という意味が込められています。そしてもう一つ『TAP』は、『TOP ATHELETE PERFORMANCE(トップアスリートパフォーマンス)』の略でもあるんです」

つまり“チームが一丸となり、トップアスリートのパフォーマンスを引き出すために、いつでもどこでも簡単に活用することができるシステム”なのだ。
多忙を極める宮田さん。しかし日々挑戦していく仕事にやりがいを感じている
現在も多忙を極める宮田さんだが、その表情や言葉は快活で、意欲に満ちている。果たして、何がそれほどのモチベーションとなっているのか。

「スポーツは、そのシステムが良かったのか悪かったのか、すぐにフィードバックがされるので、とにかくサイクルが速いんです。ですので、使い勝手が良いか悪いかが”勝敗を左右する”くらいの気持ちで、私たちもやっています。それだけシビアでもあるし、リアリティにあふれている。そんな"手触り感"がこの仕事の魅力です」

宮田さんによれば、ユーフォリアのようなスポーツITベンチャー企業は、日本ではまだまだ少ない。だからこそ

「まずスポーツに興味がある人。そして、ベンチャー企業ということで、やはり不確実な未来に対して、恐怖よりもワクワクさを持てる人が、この仕事に合っていますね。やはり、大企業で安定を求めたいという人よりは、“まだ見ぬ景色を自分の手で作りたい!”というようなパイオニア精神にあふれた人には、とても面白い分野だと思いますよ」

現在、ユーフォリアの従業員はまだ数名程度。“小さい船なので、正直大変さはある”が、日々挑戦していく仕事について“まったく飽きない”と宮田さん。今後も日本スポーツ界に、新しい風を吹き込んでいく。

※データは2018年5月17日時点
宮田誠(みやた・まこと)
明治大学商学部産業経営学科卒業後、商社、半導体JV、ブリヂストンでのマーケティング担当のキャリアを経て、ユーフォリアを設立。マーケティング/マネジメントコンサルティング、システム開発を行う。スポーツ選手のコンディション管理システム「ONE TAP SPORTS」シリーズを、ラグビー日本代表をはじめとする多くのチームに展開中。長野県出身で親族に3名の冬季五輪(アルペンスキー)選手がおり、自身もランニング・スキーなど各種スポーツ国際大会の企画・運営を行っている。HP:ユーフォリア
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