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2018年2月16日17時40分

スポーツとは無縁だった証券会社『野村ホールディングス』が東京2020五輪・パラリンピックのゴールドパートナーになった理由

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野村ホールディングス東京2020オリンピック ・パラリンピック推進を担当する執行役員の池田肇氏に話を聞いた
2015年、東京五輪・パラリンピックのゴールドパートナーとなった野村ホールディングス。過去のワールドワイドパートナーも含め、証券会社が五輪・パラリンピックのパートナーに入ったことはないという中での契約だった。

なぜ、ゴールドパートナーとなったのか。野村ホールディングス東京2020五輪・パラリンピック推進を担当する執行役員の池田肇氏に話を聞いた。

「証券会社・投資銀行は、ゴルフやテニスの大会などの冠スポンサーになり、そこにお客様を招待するというケースが多くあります。 しかし、五輪・パラリンピックは規模も全く違います。マーケティングからいくと、既存のお客様に対して、ゴルフなどのコンテンツをスポンサードしたほうがいいのではないかという議論もありました。しかし、2012年末にアベノミクスが打ち出され、 証券会社は恩恵をうけた業種です。スポーツイベントという観点ですが、日本全体をもう一度世界にアピールする機会であり『日本の挑戦をサポート』したいということで、ゴールドパートナーの契約を締結するに至りました」

その後、面白い変化が生まれた。ゴールドパートナーになったことで、海外のサッカーチームなどからスポンサーの打診があり、スポーツと大きなつながりを持つことになっていく。そして、2015年10月にはシッティングバレーボールの普及を推進する日本パラバレーボール協会のスペシャルトップパートナーに。さらに2017年1月には、プロゴルファーである松山英樹と3年間のスポンサー契約を結んだ。

「松山選手は、若い年齢から世界に挑戦しています。弊社の約3万人いる社員のうち、1万2000人は外国人。企業の壁を越えて、世界に向けて挑戦する姿勢と重なりました。加えて、シッティングバレーボール競技への支援にも力を入れています。ゴールドパートナーになった後、社内で五輪・パラリンピックを目指している人はいないかということになりました。そうしたら、高槻支店で社員をしている金木絵美さんが、なんと2008年北京、12年ロンドンパラリンピックのシッティングバレーボール競技に出場していました。当然、会社からのサポートはなく活動していたわけです。本人と話をしたとき“資金の援助をお願いできればとてもうれしいですが、やはりみなさんに応援にきてほしい。満員のスタジアムで試合をしたいんです”と言われました。日本代表戦でもそういう厳しい現状があるんだなと感じました。金木さん個人の支援は当然ですが、一過性ではなく2020年以降もチームを長期的に支援し、競技全体を盛り上げていくことで、会場を満員にしていけるのではないかと思いましたね」
企業のメッセージと
親和性のあるスポーツ支援を
様々なスポーツとの関わりをもつ野村ホールディングス。東京2020五輪・パラリンピックのゴールドパートナーとして、2018年1月23日には、動画『みんなの自己ベスト| My Personal Best』を発表した。

「世界で1番になれる人は限られています。しかし、今日の自分よりも明日、自己ベストを更新していく先に色々なものがあると思うんです。東京2020の大会ビジョンにも“全員が自己ベスト”というコンセプトが記載されています。このメッセージが社員にもすごく響いています。だからこそ“自己ベスト”を表現できるような作品を作りたいと思いました」



これは、2016年リオデジャネイロ五輪、女子200メートルバタフライで銅メダルを獲得し現役を引退した星奈津美さんを特別ゲストに迎え、記録が伸びずに挫折しそうになっている小学生、70歳を超えてなお記録を伸ばすことに挑む人、障がいを抱えながらも新しい自分の可能性を広げたい人など、7人がそれぞれの自己ベストを超えることに挑戦する姿に密着したもの。年齢やバックグラウンドの違いを超え、チームとしてお互いに励まし合い、今日の自分を乗り越える努力を続けることが大切だということが伝わる作品になっている。

「また今年から『2020年に咲く花 。』というプロジェクトをスタートしました。我々の社員・家族や親戚で五輪・パラリンピックに出場できるかは別にして、学生を含めた有望なアスリートがいないか調べているんです。そういう人を集め、社内のウェブなどで紹介していくことで“あそこの支店のお子さん頑張っているね”“応援しよう!”と自分事として、社員の士気も上がっていくと考えました。やはり、2020年が終わっても会社は続いていくので、会社と親和性のあるスポーツや選手を応援していきたいですね」

企業のメッセージがスポーツを通して浸透していくことで、カスタマーとの距離も身近になり、社員のモチベーションも上がる。2020年に向け、またそれ以降も企業がスポーツを活かすような取り組みが進むことを期待したい。

取材・文/太田弘樹
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