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2016年12月8日17時06分

企業とアスリートの関係 -Vol.2-「東京西川」(前編)

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前編は『[AiR]の誕生』や『スポーツ選手との関わり』について、営業統括本部の須藤健二朗氏に話を聞いた
2020年の東京五輪・パラリンピックに向けて、スポーツ、そしてアスリートに注目が集まる今。企業とアスリートの関係にも変化が生まれている。双方にとってメリットのある関係を築くために、何が必要なのだろうか? 選手やスポーツ事業を支えている企業人に話を聞いていく。

2回目は現在、選手を広告に起用している老舗寝具メーカーの「東京西川(西川産業)」が、『雇用』でスポーツとの新たな関わりをスタートさせる。その理由を、人事総務部部長の荒川泰典氏と営業統括本部 営業企画室チーフリーダーの須藤健二朗氏に聞いた。

文・奥田高大
[AiR]が広告にアスリートを起用する理由
創業は室町時代の1566年。450年以上の歴史を持つ老舗寝具メーカー「東京西川」。

これまでにないデザインと機能を持ったマットレス[AiR]で、三浦知良、ネイマールJr.、田中将大、松山英樹、木村沙織などをはじめ、各分野の“超”がつく一流選手を広告起用している。

その同社が、アスリートのセカンドキャリアの受け皿として、雇用を始める。ほとんどの人が「なぜ」と疑問を抱くはずだ。

いくら東京西川が業界のリーディングカンパニーであるといっても、寝具メーカーと元アスリートには、結びつきがないように見える。だが、同社がアスリートの雇用を始めるには、大きな理由があった。

きっかけは2009年。同社がそれまでとまったく異なるアプローチで開発したマットレス[AiR]の誕生。開発された理由を営業統括本部営業企画室チーフリーダーの須藤健二朗氏はこう説明する。

「そもそも寝具業界は自分たちからの情報発信が少なく、眠りに関する情報が国民に不足していたと感じています。弊社では06年に現在の社長が就任したのを機に、東京西川という会社や弊社のモノづくりのこだわり、製品のクオリティ、そしてなにより眠りの重要性をもっと幅広い年代の方に伝える必要性があると考え、新ブランド[AiR]を開発しました」

ここ数年で、寝具へのこだわりを持つ方々は増えつつあるが、開発当時は寝具へのこだわりを持つ人は今以上になく、寝具の購買層といえば、主婦層が中心というのが業界の常識。

そこで同社が、今まで寝具に関心が少なかった若年層や男性層に睡眠の重要性や、寝具に関心を持ってもらうための切り口として検討を重ねた結果、導き出されたキーワードが『スポーツ』だった。

「スポーツは、子供から大人まで幅広い層に関心が高く、コンディショニングギアとしてのマットレスとアスリートは親和性も高く、寝具に関心が少なかった方々にも興味・関心を持っていただくことが出来ると思いました。発売当時は驚きの声も上がったが、今から考えると広告にアスリートを起用したのは、ある意味必然でした」

トップアスリートが求める高い品質はもちろん、従来の寝具にはなかったようなデザイン性も持ち合わせることになった。プロゴルファー有村智恵やプロ野球選手の坂本勇人がアドバイザーとして協力。話し合いのなか遠征先でも質の高い睡眠がとりたいというニーズから、移動用の商品も開発された。
ブランドの誕生により生まれたスポーツとの結びつき
アスリートが実際に[AiR]を使用し、気に入ってくれることが契約で重要だという
このような経緯から、アスリートを広告として起用しているAiR。しかし、単純に広告に使うためのキャラクター契約ではないという。

「広告には、各分野のトップアスリートの方々に協力をいただいていますが、単純に広告だけの契約ではございません。まず、契約選手が[AiR]を本当に気に入って頂き、弊社のサポートを希望されるかが重要になります。企業・商品の価値を選手が感じていただくことで、お互いがプラスになる関係性作りが出来る方と契約させて頂いています」

例えば、MLBニューヨークヤンキースで活躍している田中将大も、最初に[AiR]をキャンプで使用。商品を気に入り、自らのコンディショニングに役立つことを認識頂き、契約に至った。もちろん、現在も全ての環境で質の高い睡眠をとるための環境づくりをアメリカでもサポートしている。

現在、同社が契約しているアスリートは十数名。だが、選手らの口コミから、契約ではないにせよ、[AiR]を使用している日本・世界で活躍するトップアスリートは800名以上にものぼり、現在でも1カ月に数十人が同社を訪れ、フィッティング(測定)を行っている。

「トップアスリートに使っていただくことで、品質への信頼感はもちろん、それまで寝具にあまり関心を持っていなかった若年層や男性の方々に、寝具について考えていただく理由ができていると思います」

こうしたアプローチが功を奏し、一般的に寝具は女性が購買層の8割を占めるが、[AiR]の購買層は男女ほぼ半々。販売実績も2012~15年で400パーセント以上の伸びを記録している。開発時の思惑通り、若年層に寝具への興味を持ってもらうという戦略の成功を受けて、はじまったのが「アスリートのセカンドキャリアへの取り組み」だった。(前編終わり)

後編は近日アップ予定
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