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2016年7月27日13時15分

しくみやシステムでスポーツ界を支える「女性アスリートの育成・支援プロジェクト」とは【後編】

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行政だからこそ出来ることがある。プロジェクトにとどまらない仕組み作り
膨大なデータの蓄積、そして明確な成果と共に見えてきた多くの課題。女性アスリートの未来のために行われているプロジェクト。前編に続き日本スポーツ振興センタースポーツ開発事業推進部の山下修平さんにお話を伺った。
さまざまな課題解決のために、行われているプロジェクトとは?
「特徴的な取組は、出産・育児に伴うサポートです。一旦競技から離れなくてはならない環境から戻るためのサポートを、国立スポーツ科学センターの資源を活用して行っています。競技復帰のためのトレーニングだけでなく、そのトレーニングを行うための託児支援なども行っています。リオオリンピックへの出場も決定した、フェンシングの佐藤希望選手にもロンドンオリンピック後、出産を経てこのサポートを利用して頂きました。」
多くの支援やサポートを受けやすい環境にいるトップアスリートだけでなく、未来のアスリートに向けた取り組み
「国立スポーツ科学センターでは、スポーツ医・科学の知見を活用した中高生の女子アスリートや保護者、指導者に向けた研修やセミナー等も行っています。また、未来のアスリート強化プログラムとして、地方公共団体やスポーツ団体と連携して、女性アスリートのための大会を作ろうという動きも進んでいます。大会を活用すれば、そこに集う女性アスリートたちが女性特有の身体のことを学ぶことが出来るだけでなく、保護者や指導者も学ぶことが出来る。いろいろな競技を行う人が集まる機会が出来ることで、一緒にトレーニングをするというきっかけや情報の共有、還流など将来が広がる場所になればと思い、今年から取り組みがスタートしました。日本全国、色々な場所に可能性があるので、アスリートやスポーツ団体、地方などをきちんと繋げていける女性アスリートのための良い仕組みを作りたい。将来的には女性アスリートのための総合競技大会を作りたいと思っていますが、まずは今年と来年で大会のプロトタイプを作っていきます。具体的には、北海道が日本スポーツ振興センター再委託事業として実施する女子7人制ラグビーの地域大会、日本ラグビーフットボール協会が再委託事業として行う強化大会の2つが決定しています。まずはここから、日本国内のみならず、女性アスリートたちが世界とも繋がっていくことができる大会が出来ればと思っています。その大会に人が集まることで、さまざまな人が多くのことを学ぶことも出来ればと思います」
国だからこそ出来ることとは
「例えば、月経に対してどうするか、出産・育児に対してどうするかなど、プログラムを使って支援することもとても重要ですが、行政や統括機関が持続可能なサポートをしていくためには、仕組みやシステムをきちんと創り上げて支援をしていくことが必要だと感じています。女性アスリートが切磋琢磨するだけでなく女性特有の課題を学べる大会を作っていく、女性アスリートがエリートコーチになることができる仕組みを作ることが重要ではないかと思っています。競技者本人だけでなく、その周囲にいる家族やコーチも含めみんなにきちんと行き渡る仕組み・システム作りをし、きちんとした制度の中で各種プログラムを整備していくことは、民間や競技団体だけでは出来ないことなので、行政機関として行っていくべき大切なことだと感じています。女性特有の身体的な課題や社会的な課題等について、今、私達が構築している仕組みを通じて、男性も女性も誰もが知っているのが当たり前という状況になるのが理想ですね。そうすることで結果的に全体的な底上げにもつながるでしょうし、本当に頑張っている女性や女の子がスポーツ界で輝いている姿をもっと見せていけることが、日本のスポーツの未来のためにも大切だと思っています」

国として女性アスリート界を支えていくために包括的な取り組みを行う「女性アスリートの育成・支援プロジェクト」。本年からスタートした新たな取り組みには、将来のある若き女性アスリートの未来を広げる可能性がたくさん詰まっている。そのほか参加も可能な女性アスリート向けのプロジェクト等は国立スポーツ科学センタホームページ、 「女性特有の課題に対応した支援プログラム」 ページも役立つ
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