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2016年7月21日10時13分

元アスリートが語る スポーツの仕事「やる」から「つくる」へ- Vol.8–元競輪選手 後藤圭司さんパート2~前編~

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セカンドキャリア再訪、2年目の後藤さん
~第8回目~
後藤圭司(ごとう けいじ)さん/42歳
競輪選手→整骨院オーナー(「KGボディメンテナンス整骨院」代表)
「1回の来院で効果を出す」お客さんが来る理由を作る
このシリーズの第1回目に登場していただいた後藤圭司さん。2014年9月の取材当時は、プロの競輪選手を辞め、東京都江東区新豊洲のフットサルパーク内に整骨院をオープンしたばかり。「身体のことをもっと知る」ために、仕事を終えてから夜間の柔道整復師学校にも通っていた。

“仕事と勉強の両立はたいへんでしょう? ”と聞くと「全然、苦になんないです(笑)。自分が興味あることだから」と、こともなげに笑顔で答えてくれた。

—あれから、およそ2年-後藤さんはどうしているのか。整骨院を再訪した。

「学校はきちんと卒業しました(笑)。今年3月、国家資格にも無事受かりました。やっぱり国家資格者だと、患者さんたちも安心するみたいですね」

以前と変わらない笑顔でそう話す後藤さん。まずは開業からこれまでの“経営”について、単刀直入に聞いてみた。

「開院した場所がちょっと駅から離れている上に、入り口が道路とは反対側。だから最初の半年は、けっこう大変でしたね。“駅からマンション”っていう人の流れの中に僕らの施設があれば『ちょっと腰が痛いから』って、立ち寄ってくれることもあるんでしょうけど、そうはいかない。フットサルパーク内の整骨院ということで、サッカーをしにやって来る人たちがひとつの顧客ターゲットだったんですけど、そういう人たちは怪我でもしない限り来ないんですよ(笑)。チラシも作って配ったりしたんですけど、あんまり効果はなかったですね」

—まずは、自分たち存在を知ってもらわなきゃいけないー
そこで威力を発揮したのが、FacebookなどSNSといった現代の「口(くち)コミ」だった。

「1回来てくれたお客様が『あそこ凄いよ、本当に腰の痛みが良くなった』ってツイートすると、ババババって拡散していくから、チラシを配るよりも早くて信頼性もある。あと、僕の息子が通っている幼稚園に行った時に『カラダをこうやって使ってごらん』って教えた子がサッと足が速くなったことがあるんです。その話が伝わって興味を持ったお客さんが来てくれたり。そういうところから、少しずつ患者さんやお客さんが増えてきている感じですね」
時には儲け度外視で施術をすることも
月に2回のペースで来院する吉田さん。施術後も後藤さんとの会話を楽しむ
整骨院という看板を掲げながら、現在、捻挫や脱臼、骨折といった保険が使える外傷でやって来る患者さんは全体の1割ほど。あとの9割のお客さんは、保険適用外の「メンテナンス」を求めてくる人たちだ。もちろん、料金は全額負担の自費治療。それでも他にはない“セールスポイント”に魅かれて、ここにやって来る。

「本当は整骨院って、何回も通ってもらうことで経営が成り立つという所があるんですけど、それは僕自身が求めているものとは違っていた。例えば、僕が競輪をやっている時にギックリ腰になったとするじゃないですか。その時に僕なら1回の治療、ないし2回で治して欲しいんですよ。すぐ現場に復帰したいから。だから、ここに来る患者さんもなるべく直ぐに治したい。それで『あそこ凄い!』ってなったら、別の所に痛みが出た時に、きっとまた来てくれるんじゃないかと」

たくさんの人々が往来する駅や住宅地から遠い整骨院に必要なのは、わざわざお客さんが足を運ぶ理由だ。だからこそ『なるべく1回の来院で、直ぐに治す』ことを心がけている。 症状によっては施術に3〜4時間もかかることもあるが、そういう時には儲けは度外視。

しかし、そのお客さんが“口コミ”でまた人を呼んでくれることで、遠回りのようで経営的には成り立っている、と感じている。

「僕の整骨院経営は、日によって結構アップダウンがあります。何せ安定して保険請求できる外傷患者の方が1割ですから。メンテナンスでいらっしゃる9割の方は大半が予約だから、忙しい時は昼ご飯も食べられないぐらいにドカーンと入っちゃうことがあったりもするけど、予約が入らない時は一日誰も来ない(笑)。でも月に平均すると、ちゃんと来院する方の数は増えているんですよ」
施術中、吉田さんが投げかける”体”についての質問に経験談を交えて答える後藤さん
自分がやっていることは、「もっと動ける身体を作る修理屋」と言う後藤さんの仕事ぶりに惚れこんで、定期的に通院してくる人たちも増えている。その1人が月に2回のペースで来院する吉田久美子さん。後藤さんと同じマンションに住むレディースクラブ(婦人会)の会長だ。

「元プロの競輪選手っていうのも興味があったんです。そういう人の整体って受けたことが無かったんで。私は整体が結構好きなので、今までいろいろやっているんですけど、後藤さんのはちょっと違うんです。リラクゼーションには欠けるんですけど、あとで腰とか肩が楽になってるなって実感しているから通っているんですよね。それに、お喋りが楽しい。いつも前向き。『それ行け!』の感じで(笑)」

1時間の施術中に、吉田さんが次から次へと投げかける質問に自分の経験談を交えて、しっかり、丁寧に答える後藤さん。そのやりとりから滲む真摯な人柄も“またここに来たい”と思わせる魅力だ。(前編終わり)
(プロフィール)
後藤圭司 / 1973年12月19日生まれ、静岡県裾野市出身。1996年にプロ競輪選手としてデビュー。2001年にS級入り、通算勝利数は139、通算優勝回数7。2014年8月1日、東京都豊洲に「KGボディメンテナンス整骨院」を開業。同年9月29日に競輪選手としての競技生活から引退。

※データは2016年7月20日時点
後編は7月26日アップ予定!
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