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2016年5月17日14時40分

賞味期限は20代後半!?日本よりも厳しい韓国女子ゴルフ界から考える 女子プロゴルファーのセカンドキャリアとは?(後編)

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イ・ボミなどトップ選手らは大学院に籍を置き
ゴルフを続けている
(写真左から)キム・ハヌル、イ・ボミ。2人とも韓国の大学院に在学しながら日本でプレーしている。写真・Getty Images
文・金明昱

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下部ツアーに落ちれば、メインスポンサーも離れていく。その経験を持つのが26歳のジョン・ジェウンだ。14年の日本ツアーQTに挑戦し、15年から日本ツアー出場権を手にした。13年は韓国ツアーのシードを落とす屈辱を味わい、14年は2部ツアーへ。露出が減る2部に進んだため、メインスポンサーのKB国民銀行から契約解除を言い渡された。日韓両レギュラーツアー出場権を持つ現在は、BCカードがメインスポンサーとなったが『当時のどん底を味わった経験は忘れない』という。

「あのときは、ゴルフの才能がないと思い、引退しようと考えたこともありました。日本ツアーに参戦して思いましたが、やはり韓国ツアーよりも年齢が高い人が多いです。韓国はすごく若い選手が多く、20代後半になれば、完全にベテラン扱い(笑)。スポンサーもできれば若い選手に投資します」

イ・ボミやキム・ハヌルが20代後半になり、日本で再び花を咲かせている現実は、海を渡った韓国でも知られており、そうした流れが韓国人選手のなかでできつつある。一方、09年に米女子ツアー賞金女王にもなった申ジエはこういった意見をもつ。

「ジュニアのころから結果ばかりを求められ、厳しい環境でゴルフをするので、成績は一気に上がります。ただ、成績が出てこなくなると、子どものころから詰め込み教育をしすぎた結果、抜け殻のようになる選手も多い。本来、ゴルフは楽しむべきものなのに、それを忘れてしまうわけです。私は長くゴルフを続けたいから日本に来たという理由もあります。ここではベテラン選手が長く活躍できる環境が整っています」
中にはMBA(経営学修士)を取得している人も
それでも日本ツアーにも来られない選手はどうするのか。ジョン・ジェウンは「結婚して引退する選手もいれば、レッスンプロになる人も多いです。あとはゴルフ番組でレッスンをしている選手もいます。最近では大学院に通いながら、将来的に教授になる人もいて、これが一つの主流となりつつありますよ」と語る。

確かにイ・ボミ、キム・ハヌル、アン・ソンジュらは、建国大学院に籍を置いて、スポーツマーケティングや経営学を学んでいる。ユン・チェヨンも中央大学校の大学院でスポーツ産業学を学び「将来的にはゴルフ分野で仕事ができれば」と話す。

驚いたのは金ソヨンが、大学院でMBA(経営学修士)を取得していることだ。

「専攻はスポーツマーケティングです。もし、選手生活を終えたときは、博士のほうに進みます。韓国ツアーで活躍していた選手は華やかな世界にいた分、レッスンだけで生活できないという選手が多いんです」

日本人選手の主なセカンドキャリアも、レッスンプロやテレビ番組での解説、そして結婚し主婦と韓国人選手とさほど変わりはない。しかし、現役時代から大学院に席を置いている日本のトッププレーヤーはいない。

セカンドキャリアは様々でそこに正解はないが、韓国ツアーのレベルが高まるなかで、生き残っていくのは相当厳しく、またゴルフだけでは生計を立てられない、自身の将来を早期に考えなくてはいけないため、勉強し学位を得て将来へ繋げようとしている選手が増えていると感じる。日本の男子選手では、過去に金子柱憲が早稲田大学の大学院を卒業、また横田真一も順天堂大学の大学院へ入学している。今後、日本女子ゴルファー引退後の一つの選択肢として、『大学院で勉強』が主流となる日が来るかもしれない。

(プロフィール)
金明昱(キム・ミョンウ)
1977年、大阪府生まれ。在日コリアン3世、朝鮮大学校外国語学部卒。朝鮮新報社記者時代に幅広い分野のスポーツ取材をこなす。その後、ライターとして活動を開始し、主に韓国、北朝鮮のサッカー、コリアン選手らを取材。南アフリカワールドカップ前には平壌に入り、代表チームや関係者らを取材。2011年からゴルフ取材も開始。イ・ボミら韓国人選手と親交があり、韓国ゴルフ事情に精通している。
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