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2016年5月10日17時07分

賞味期限は20代後半!?日本よりも厳しい韓国女子ゴルフ界から考える 女子プロゴルファーのセカンドキャリアとは?(前編)

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1~3部まである韓国ツアー
下部にいけば優勝賞金は60万円程度
ヤマハレディースオープン葛城で3位タイに入ったユン・チェヨン。韓国ツアーの実態を語った(写真・Getty Images)
文・金明昱

今や世界の女子ゴルフ界を牛耳っているのは『韓国勢』という事実は、成績を見れば一目瞭然だろう。世界ランキング2位のパク・インビ、6位のエイミー・ヤン、7位のキム・セヨンらを含むトップ15位以内に8人もいる(※2016年5月9日時点)。ニュージーランド国籍を持つ同1位のリディア・コも韓国出身選手。

さら日本女子ツアーには昨年の賞金女王イ・ボミを筆頭に、元米女子ツアー賞金女王の申ジエ、日本ツアーで3度も賞金女王になったアン・ソンジュなど、挙げればキリがない。ただ、華やかな世界にのし上がれる選手はほんの一握りという現実は、さして日本と変わりない。韓国女子ツアーは3部制で成り立っている。

1部は「KLPGAツアー(レギュラーツアー)」、2部は「ドリームツアー」、3部は「ジャンプツアー」という。

若くて強い選手が年々出てくることから、人気の高まりを見せ、試合数と賞金額は年々増加傾向にある。今年のレギュラーツアーは33試合、賞金総額も212億ウォン(約21億2000万円)と過去最高を更新。2部(19試合)、3部(16試合)ツアーの試合数増加も影響して、韓国ツアーはいま絶頂期を迎えている。

そうした人気の高まりが選手の露出を高める一方。競争はより厳しさを増している。4月のヤマハレディースオープン葛城に招待され、2度目の日本ツアー出場ながらも3位タイに入ったユン・チェヨン。韓国で05年にプロとなった。

「KLPGAは15年から、レギュラーツアーの出場権が与えられる賞金シードの枠を増やしました。これまで賞金ランキング50位以内に与えられたシード権が、60位以内まで下がりました。選手にとってはありがたい話ですが、1試合の出場枠が増えたため、上位争いが難しくなりました。私は今年29歳ですが、年上の選手はレギュラーツアーに10人もいません。それだけ若くてうまい選手がどんどん輩出されるということ。勝てなくなったり、シードを落とした20代後半の選手が引退するのは自然の流れなのかもしれません」

実際のところ、2部と3部を行ったりきたりしながら、プロゴルファーをあきらめて挫折する選手が多いという。理由はさまざまだが、1つはお金の問題。2部で優勝しても1400万ウォン(140万円)、3部の優勝賞金はさらに下がり600万ウォン(約60万円)しかない。選手個人に大手のスポンサーがつかない限り、生計が成り立たない。
年に30~40人が入れ替わる激しい争い
昨年、日本女子ツアーのファイナルクオリファイングトーナメント(以下QT)で28位に入り、フル参戦の出場権を得た金ソヨン。去年、韓国ツアー2部に落ち、日本ツアーを選択した一人で、一度、2部に落ちると1部に上がるのはすごく難しいと話してくれた。

「韓国では9年間、1部のシード選手としてプレーしました。しかし昨年、シードを失って2部ツアーでプレーしましたが、1部と2部とでは、あまりにも環境が違っていました。やはり賞金額が少なく、貯金を切り崩しながら生活しました。2部はスポンサーがほとんど関心を持たないという部分も大きい、そうなると負の連鎖です。選手も『お金を稼がないといけない』という意識ばかり働いて、努力をしなくなります。そうした環境から抜け出して、日本に来られたことはある意味、幸運かもしれません」

前出のユン・チェヨンも苦笑いしながら、韓国ツアーのレベルの高さについてこう話す。

「1部で調子の悪かった選手がシード権を失い、QTでいい結果を残せるわけがありません。QTにはレベルの高いルーキーがうじゃうじゃいて、1部ツアーに上がってくるわけです。1部の選手は年に30~40人が入れ替わるんですよ(笑)。トーナメントで優勝するためには、1日に7アンダーくらい出さないと勝てない。それくらい争いがし烈なんです」

こうして若い選手に太刀打ちできず、20代後半で勝てなくなると引退を余儀なくされる流れが韓国にはある。

前編終わり。後編はこちらから!
(プロフィール)
金明昱(キム・ミョンウ)
1977年、大阪府生まれ。在日コリアン3世、朝鮮大学校外国語学部卒。朝鮮新報社記者時代に幅広い分野のスポーツ取材をこなす。その後、ライターとして活動を開始し、主に韓国、北朝鮮のサッカー、コリアン選手らを取材。南アフリカワールドカップ前には平壌に入り、代表チームや関係者らを取材。2011年からゴルフ取材も開始。イ・ボミら韓国人選手と親交があり、韓国ゴルフ事情に精通している。
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