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2016年1月27日20時30分

結婚・出産・ライフイベントと競技継続を考える(前編)

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競技生活を続けながら、ライフイベントも楽しむ。
競技生活を仕事に置き換えると、多くの女性たちが昔から大きな岐路に立たされるライフイベントは数多い。中でも、結婚・出産という節目ともなるライフイベントと女性アスリートはどのように向き合っているのか。
自身も30歳まで陸上・七種競技の現役選手として活動し、体育学修士として東海学園大学・スポーツ健康科学部で教員として活躍する 木村華織さんに、日本での女性アスリートのライフイベントと競技継続に関しての研究報告のお話をうかがった。
ママでも競技を続ける
それはたった50年前の出来事
まずご覧いただきたいのが、女性の年齢階級別労働力率の推移(平成26年版 男女共同参画白書より)

アスリートのみならず、女性がどのように社会にでて働いているのかが見える。 40年前に比べて、女性の労働力は増えているものの、描かれるラインに大きな変動はないのが 見受けられる。大学などを卒業する20〜24歳に上がった労働力が、30〜34歳、約10年後に減少。ここから、女性の労働は結婚や出産に伴う休職や退職(引退)が多いこともみてとれる。

木村さん曰く、
「人は、生まれてから生涯を終えるまで、常に役割をまとっているもの。ひとつの役割だけでなく、子・妻・母・祖母など家族役割と、職業役割のふたつが絡み合う。男性はもちろん、女性も年齢・立場・状況に応じて様々な役割を取得する。必然の役割だけでなく、【自分の希望する役割】を選択できる社会であるかどうかは、アスリートだけでなく、女性にとって非常に重要なこと」
そんな女性たちの理想と現実はどうなっているのだろうか。(平成26年版 男女共同参画白書より)
多くの女性たちが仕事と家庭生活を共に優先することを望むものの、家庭を優先することが多いというのが現実。男性の多くは、希望は仕事と家庭を共に優先することを希望し、実際は仕事優先となっているという傾向がみてとれる。

競技を続けていくうえで、ライフイベントだけでなく、周囲の意識や自分の意思も非常に重要だという木村さん。
では、“意識”はどうなっているのだろう?
「男性(夫)は外で働き、女性(妻)は家庭を守るべきである」(平成26年版 男女共同参画白書より) 約35年間のデータがこちら。
驚くべきは、女性がこの意見に賛成している割合が50パーセントを切ったのは約14年前、そして男性は4年前の調査でも5割強が「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきである」と思っているということ。
自身が望むが仕事(競技続行)に関して、本当に家族の理解をすべて得られる状況は、まだまだ少ないのが現状だ。

「スポーツ選手のライフコース選択をみてみると、
選手としての活動(仕事)

選手生活からの引退要因としては、モチベーションの低下や身体的限界と共に、結婚・出産も要因のひとつになっています。

家族(家庭)をもっても“競技=仕事”を続けたい。そう感じた時に自身の希望を叶えるためには家族をはじめ、さまざまなサポートは不可欠。ただ、自分でまず1歩を踏み出し、道をどんどん切り開いていこう! という意識をまず持つことが第一です」(木村さん) いかにライフコースを選択していくのか、年代別に日本における選手たちの「選択」をみてみよう。

1960年代
家事も育児も選手活動も! 日本初のママさん選手が誕生

「私の調べた限り、日本で1番最初のママさん選手(オリンピック選手)は池田敬子さんという体操選手です。1961年に第一子、1963年に第二子を出産し、1964年の東京五輪に出場しました」(木村さん)

1970年代
家庭の中に自己実現を求める(二者択一)
結婚=引退、引退=結婚
結婚して選手を続けることは家族に迷惑をかけること……

1980〜1990年代
家庭以外の場に自己実現を求める(二者択一)
結婚適齢期を過ぎても競技を継続
家事・育児との両立は困難と判断し、結婚を断念

2000年代
職業(競技者)キャリアを継続する方策を模索・実践
性別による役割分業の代替え(家事は夫中心など)
チーム(社会・会社)の中に託児班の設置

母としての道と競技者としての道を両方叶えた、ママ選手がはじめて誕生したのは、たった50年前ということになる。また、1990年代までは、結婚(出産)と競技の両立は難しいものであるという時代の流れであった。
そして、2000年代になり、少しづつ状況の変化が。

「ライフコースの選択において、やりたいと思う人がチャレンジでき、多様な選択肢を見出せる道が、ようやく増えてきています」(木村さん)

多くのデータをみる限り、ライフイベントの変化に伴う競技者としての選択が、自らの希望だけでなく、 さまざまな女性として、男性としてという「意識」が関わっていることがわかる。

今、世界で活躍する多くの女性アスリートの顔を思い浮かべてみてほしい。
既婚そして母であるアスリートよりも、独身であり、子供を産んでいないアスリートの顔のほうが多く浮かぶのではないだろうか?

後編は、2月3日にアップ予定!
女性アスリートたちがどのようにライフイベントを選択したのか実例を交えて紹介。二者択一だけでない、女性アスリートたちのさまざまな人生の選択から、女性と男性のライフコースの多様化を考える。
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