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2015年11月17日12時00分

川口美喜子教授の栄養学連載特別編(2)平昌オリンピックを目指すモーグル選手畑田萌香さんと『食』対談

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栄養連載6回目畑田さん
川口先生のアドバイスをきちんとメモする畑田さん
教えてくれる先生・川口美喜子さん(大妻女子大学家政学部教授)
文・大場真代

今回は、特別編!
2018年の平昌オリンピック出場を目指すフリースタイルスキーモーグル選手の畑田萌香さんが『栄養』に関して様々なことを知りたい!ということで川口先生に日々の食に対しての疑問や質問を聞く対談を行った、今回は2回目。
体脂肪を増やさずに体重をアップしなくてはいけいない
連載栄養6回目2
畑田:今シーズンから強化基準方針として、代表選考参考のための体力測定があるんですが、除脂肪体重や体脂肪率に、筋力や体力など身体能力や技術など14の測定項目がありまして、そこで一番ネックになっているのが体重で、今より5キロくらい増やさなくてはいけないんです。

川口:今の身長と体重、体脂肪は?

畑田:156センチで、体重は49キロくらいがベストですが今は47〜49キロくらい、体脂肪は9〜14パーセントと少し変動があります。体脂肪の基準は14パーセント以下なのでクリアはしているんですが…。

川口:除脂肪体重(LBM)を上げるということは、体脂肪は上げるなということですから、筋肉だけで5キロ増やすということは、かなりハードなトレーニングを加えてということが必要になりますよね。

畑田:そうですね。

川口:食べることよりもトレーニングを重視した内容なんですね。

畑田:測定する14項目のうち、それぞれ決められた基準値があり、また突破しなければならないトータルでの項目数も設定されているので、例えば体脂肪は気にせず、その代わりに身体能力や技術をクリアしてとか…。

川口:どこを自分が落として、どれを重視するのかというのは難しいですね。

畑田:はい、なかなか厳しいです。。。

川口:運動量をかなり上げて、その分しっかり食べなさいということなんでしょうね。
夕飯を工夫することで消化もスムーズになる
連載栄養6回目2
畑田:あと、JISSでのトレーニングの日は終わるのがだいたい20時頃で、そこから寮に戻ってご飯を食べるとなると22時くらいになってしまうので、体脂肪だけ増えるのではないかと心配しています。

川口:よく「寝る前に食べると太る」といいますが、寝ているときもエネルギーは使われていますし、運動をたくさんしたらその分、筋肉などの修復でエネルギーはかなり使われるので寝る前に食べたものが脂肪になるというわけではありません。むしろ必要な分だけを補っておかないと次の日にバテてしまって練習が捗らなくなってしまう可能性もあるんです。

畑田:じゃあ普段通り食べても大丈夫ですか?

川口:22時に食べて、寝るのが24時くらいだとすると、エネルギーは摂っても消化吸収のいい素材や料理にしたほうがいいですね。胃や腸などの消化管は、一番神経が通っているところなので、寝ているときに胃腸に物が残っていると神経を使ってしまうことになります。また、休んでいるときは循環器系の働きや血液の循環も落ちてくるので、起きているときよりも消化に時間がかかってしまい、寝ていても体を休ませてあげられません。ですからしっかり体を休めるためにも、3〜4時間くらいで腸に収まって、消化の準備に入れるようなものを食べるのがいいでしょう。例えば揚げ物などの油の多いものは消化にも時間がかかるので控えておけば、カロリーも抑えられます。

畑田:寮の夕飯だとメニューが決められているのですが、脂っこいものがメニューだった場合はどうすればいいですか?

川口:例えばその日の夕食がカツカレーだったとすると、カツは避けて、その代わり豚肉が残っているようなら揚げずに焼いて食べるとか。カレーもそのままでは脂っこいですが、牛乳とケチャップを入れて薄めて食べるのもいいと思います。あとはオレンジジュースで薄めても美味しく食べられますよ。ただスポーツ選手は感性の高い人が多いので、自分に正直に食べるのが一番。その時々で「今はこれは止めておいたほうがいいな」と思えば、食べなければいいし「食べたいな」と思ったら食べてもOK。あまり窮屈にならずに、食べたいものを美味しく食べるのが一番ですよ。
【プロフィール】
畑田萌香(はただ・もか)
1997年1月14日生まれ、兵庫県出身。小学5年生の冬からモーグルを始める。その後、年代ごとの大会に出場し好成績を残した。2011−12シーズンより、国際スキー連盟(FIS)公認レースや、ワールドカップの下部大会・ノースアメリカンカップ(北米杯)などに出場。13 −14シーズンには念願のワールドカップに出場し、初出場で決勝進出を果たした。畑田萌香オフィシャルFacebook: https://www.facebook.com/hatada.moka.official

【先生のプロフィール】
川口美喜子(かわぐち・みきこ)さん
大妻女子大学家政学部教授、管理栄養士・医学博士。1957年生まれ、島根県出雲市出身。専門は病態栄養学、がん病態栄養並びにスポーツ栄養。2004年4月島根大学医学部附属病院栄養管理室長、2005年5月島根大学医学部附属病院NST(栄養サポートチーム)の構築と稼働、2007年4月特殊診療施設臨床栄養部副部長、2013年4月より現職。
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