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ラグビープロレフリー平林泰三~後編~

2015年8月27日18時00分

知りたい!就きたい!スポーツの仕事現場
ラグビープロレフリー平林泰三~後編~

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1年間の総合した働きで報酬を得ている
平林泰三
『中立な立場であること』を大切にレフリングしている平林さん
プロレフリーになったのはB級の資格をもっていた2003年。ラグビー部がある企業に雇われた平林さんは、選手としてプレーしていた経験があったため、レフリーだけではなくテクニカルな面でもチームをサポートしていた。また、オーストラリアでネイティブな英語も習得していたので、外国人選手のマネジメントやリクルートなどの仕事にも携わっていた。

「レフリーを企業が雇うことは、世界的にもかなり斬新なことでした。チームにレフリーを入れるというのは違反のような感じがしますが、チームの試合でジャッジをおこなう訳ではないので、強化という意味あいで雇われていましたね。企業チームの強化に携われたことは、現職に活きています」

05年所属企業を退社、同年ピザーラと所属契約を結び『日本初のフルタイムレフリー』として活動していくことになった。その後06年にA級公認レフリー資格を取得、07年にはレフリーとして史上初めて日本ラグビーフットボール協会と契約。また、北半球最高峰のシックスネイションズでは、日本人初のタッチジャッジを務めるなど、現在トップレフリーとして国内外で幅広く活動している平林さん、具体的に仕事の中で大事にしていることを聞いた。

「まず試合前に『ゲームプラン』を作ることです。ゲームでどういうところにフォーカスを当てて、レフリングしていくのかなどを決めていきます。この様な試合準備のやり方は今ではワールドラグビーも推奨していますが、私はいち早く06年から導入していました。試合後には、自己分析をした上で、コーチと共にゲームプランとスタッツを見てディスカッションします。あとは『フィットネストレーニング』です。ウエイト、アジリティ、有酸素運動など常にいいところでジャッジをしなくてはいけないので、ラグビーレフリーに特化した身体能力の維持・向上は必要になってきます。そして、試合中に大事なことは『感情移入をしない』ことです。選手やコーチはどうしても勝ちたいという強い思いがあるため、試合に入り込んでいます。それに流されないで、チームのプレーする意図をくみ取り、中立にジャッジメントしていくことが大事です」

また、現在協会との契約を結んでおり、レフリー以外にも役割を担っているという。

「私の場合、フルタイムで1年間ラグビーに携わるという業務委託契約しています。業務は『レフリー活動』『各年代など日本代表の強化サポート』『レフリーの普及活動』の3つで、それを総合してサラリーを貰っています。世界にはプロレフリーがいて、フルタイムの仕事を持っていながら、週末に試合を吹いて対価をもらう人もいますが、1試合いくらという形ではないんです」
試合内外で様々なスキルが必要になる
平林泰三
80分間のゲーム中、常に動き回らないといけないラグビーレフリー。いいポジションで笛を吹くためにはフィジカルトレーニングが必須
2019年には日本でラグビーワールドカップの開催が決定しており、レフリーとして出場したいという若者が増えてきているという。

「ラグビーしたことがない人でもレフリーになりたいという人は多くいるんです。選手としてワールドカップに出られないから、レフリーとして出場したいという気持ちは否定しませんし、正しい発想だと思います。私も東京に来たときナンバー1のレフリーになってやるという思いでした。経験を積んで、視野が広くなったことで現在があります。レフリーをやる導入部分としては、多少エゴがあってもいいと思います。ただ、ある程度ラグビーを理解しステージが上がれば、ゲームの本質をみられるような力を養っていかなければいけません。さらに、日本全体のラグビーや試合内容が向上していくようなビジョンを持ち、強いメッセージを発しながら公の価値になるように活動していく。『行きたい大会がある』など個人だけの目標を達成する、ランク昇格だけを求めて活動してはいけないのです」

最後に、この仕事に就くためには、どのようなスキルが必要なのかを聞いた。

「国際レフリーという適正が必要になってきます。試合中には以下のことが必要です。

・英語力(試合をマネジメントできるような対話スキル必須)
・フィジカル(80分間のゲームにおいて正確にジャッジをしなくてはいけない)
・国際レベルのゲーム理解力(世界のラグビーが現在どのようなものなのかトレンドを理解しておく)
・表現力(ゲームは興業。選手、テレビ・スタジアムで見ている人に対し、言葉・身振り手振りで強いメッセージ伝える力)

そして、試合外でも必要なことがあります。それは『人種の尊重』です。海外に出ていくわけですから、色々な人種の人と会い会話をすることになります。日本を代表して海外に行く訳ですから、その国のことを理解し受け入れる姿勢が必要です」

平林泰三HPhttp://rugbyreferee.aspota.jp/

※データは2015年8月24日時点。

文・太田弘樹
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